免許をとろう!



〜内容豊富な第二段階〜

 なんとかすんなりと第一段階の教習効果見極めまでが終了し、今度は第二段階に入ります。
 第一段階は「基本操作の習得」というのが目的で、技術的な面が中心になります。そのため方向指示や安全確認動作などはどうでもいい(と言うと言い過ぎですが)から、とにかく腕を上げよ、と言うものでした。一本橋ならなるべく長く、スラロームならなるべく速く、といった具合です。
 それに対して第二段階は、「法規に則った走行」を習得目的とします。そして基本操作は、必要最小限を確保するように徐々に合わせて行きます。一本橋は10秒前半、スラロームは6秒半ば、というのが目標になっていきます。



 さあ、それでは走ってみましょう。上の図は750ccバイクのAコースです。Bコースというのもあります。横軸幹線で、真ん中の信号左折なのがAコース、右端の一時停止左折なのがBコースとなり、違いはそこだけです。
 コースの進行順は、
 スタート → 工事中回避 → 指定速度区間 → 信号左折 → 基本コース → 信号右折 → 踏切 → 一時停止 → 坂道発進 → 指定速度区間 → 急制動 → 駐車

となります。

1.ピットスタート
 乗車するところから始まります。
 乗車は、ハンドルをまっすぐに向け(駐車中は左に切ってあります)、サイドスタンドをはずします。前ブレーキを握り後方確認をして乗車するのですが、その際に右足を地面に着かずに、ステップに載せてそのまま後ろブレーキを踏みます。
 ブレーキを踏んだまま、バックミラーの調整を行い、クラッチを握ってキーをONにします。セルを回して始動したら、前ブレーキを握って右足を接地、ローギヤの確認をして右足をステップに戻します。
 ウィンカーを右に出して右後方確認、発進します。本線合流時に再度後方確認を忘れずに。

2.工事中の回避
 大きく回避して車線を越えます。全ての動作に共通することですが、バックミラーで後方確認 → ウインカー → 振り向いて後方目視確認 → 動作、という順序になります。
 ここは回避後すぐにカーブなので、クイックに曲がる、というのが必要になります。以外と自動車学校では「急」のつく動作を多く要求されるのがわかりました。

3.指定速度区間
 時速40km以上に速度を上げます。
 カーブ手前でポンピングブレーキ、速度を20kmまで落とします。次の右折に備えて右端に寄せますが、寄りすぎてセンターラインからはみ出ないように気を付けましょう。車線変更時の後方確認は、ブレーキングを終えてカーブにかかったあたりで、バンク角を安定させてからの方が良いようです。

4.右折〜信号
 右折は、2速半クラッチが目安です。信号左折しますが、ここは2速クラッチ切り、または1速半クラッチの高回転での合わせ、という感じですね。どちらも決してバイクを寝かさないこと。ハンドルで曲がります。
 大型車は特に、リーンアウトを多用します。まあオフロードバイクで小回りするならそうなりますから、同じことですね。

5.左折〜右折して基本コースへ
 左折してから右折まで距離が有りません。左折時に当然右方向を確認しているので、左折したらすぐ右へウインカーを出し、一応後方確認して右へ寄せます。
 ここ、ちょっと危険です。反対側からは基本コースから出た車両が同じ動作をしてきますし、急制動の車両も来ます。気を付けて基本コースへ。

6.右折して踏切へ
 基本コースを出て中央の縦線へ右折。ここは先ほどの逆ですね。
 信号を右折しますが、ここの信号は2輪車停止線があります。十分な余裕が有れば、車は抜いてしまいます。
 外周へ突き当たったら、そのまま小回りして踏切へ入ります。1時間に数回しか鳴らないので、ここでは踏切にひっかかったことがありません。近くを走るJRと近鉄の方が頻繁に通ります(笑)

7.左折して信号直進、右折
 信号のあと右折するのですが、距離がないので進路変更が忙しい。3秒ルール(ウインカー後3秒待って進路変更)に合わせて早めの後方確認をします。
 どの場面でも同じなのですが、右足は地面につかないようにします。また一時停止線のない箇所では、出来るだけ左足も着かないように、遅乗りテクニックを要求されます(ホントか?)

8.坂道発進
 坂道発進は後ろブレーキを引きずりながら、ですか。みんなここで苦労していました。私が見たところ、シフトアップがみなさん遅いです。このあたり、ギヤ比の低いオフ車ライダーはだいたい早めにシフトする癖があるので対応できるのですが、マルチユーザーは左足を上げるのが遅いですね。
 750のトルクならば、動き出したらすぐに2速に上げてやればいい。そしてそのままアクセルオフ。自動車学校の坂道発進は、そういうタイミングで出来ています。それ以上大きな坂は造れませんからね。

9.指定速度からの急制動
 外周をとにかく時速40kmまで上げて走ります。カーブは20km以下です。
 最後に急制動なのですが、これは時速40km以上から11m以内で停止することを求められます。
 最初に停止箇所を見せられました。路面がかなり削れています。転倒の痕です・・・直線でわずか時速40km、なんで転ける?と思うようなシチュエーションなんですが、経験が少ないと緊張するようです。
 この急制動、中型を取得したときには、「エンストするまで絶対にクラッチを切ってはいけない!」と教えられました。が、実際にやってみると、クラッチは切った方が停止距離は短いのです。それもやらせていただきました。2mは違いますね。
 急制動なんて、オフロードに比べればまったく簡単な物です。ただ気軽にブレーキ掛けるだけですから。またブレーキのタイミングですが、一瞬リヤを先に踏みます。ほんの一瞬です。
 参考までに、CB400SFで急制動をさせていただくことが出来ました。初めて乗るバイクで初めてのブレーキング・・・40kmから前後ロック!すぐに再粘着させてわずか5mで停止。教官が焦ってました(笑)だってねえ・・・しょうがないじゃん。

10.駐車
 急制動の位置から、左へ寄せて駐車します。1速に入れてクラッチを握り、リヤブレーキを踏んでキーをOFFにします。前ブレーキを握り、右足は接地させずにそのまま降ります。
 基本的に、「大型ライダーは颯爽と、格好良くなければいけない」のです。サイドスタンドを立て、ハンドルを左に切って駐車します。

 これでAコースの全行程が終わりました。


 さて、A/Bの各コースを2時限走ります。8時限目は特殊授業で、「回避」が目的です。



 これは、とっさのときの対応です。これが実は難しい。
 普通に走って、信号を教官が切り替えます。赤ならパイロンを右へ、青なら左へ回避します。ブレーキは使用しません。

 危険回避はとっさのことです。だからこの練習がどういう効果があるのか?何とも言えません。
 この教習時限、私は全くできませんでした。学校側も、この教習は「意識付け」という捉え方の様で、この内容でうまくいかなくても再受講の必要はないようです。すなわち、ここでの延長はありません。


 9時限目、10時限目は、シミュレータを使った室内教習です。実車に乗ることはありません。
 シミュレータは、ホンダの開発によるもので、モーターショーなどでも展示されていたりします。



 これは、なかなかリアルな動きをします。ただ、ハンドルを切ってからバンクするので、ちょっと気分的におかしいです。そして、酔います・・・
 実際、私はこれで酔ってしまいました。で、満足に教習受けてません。悪しからず。
 この時間は2時間セット教習として行われます。シミュレータ画面に映し出される様々なシーンにおいての危険予知を行うものです。まあ多少大げさですが、ごくありがちなシチュエーションが選定されています。
 最後に、オプションとして内緒のコースをシミュレータ上で走らせていただきました。それは、鈴鹿サーキットです。但しバイクはCB750という設定のままです。最高速度は140kmぐらいですが、すぐにステップが接地します(笑)私の場合は、シフト操作による減速時の対処が非常にうまい、などと言われてしまいました。でも、3分程度かかる計算のようです。最速で2分50秒とか。実はシケインで転倒して完走ならずだったのでした。残念。

 さて残り2時限は総合的な走行です。今まで乗ってきた状態を、確実に合格する様に仕上げていくのです。
 ここで、ちょっと調子を崩してしまいました。これまで、一本橋は11秒台だったのですが10秒台前半を狙え、と少しペースを変えました。すると、9.8〜9.9秒で安定してしまいました。これでは減点です。あと0.3秒ほどを延ばそうとしたら、おかしくなって一本橋から落下が連続しました。

 そして、使用する車両が変わりました。
 この学校には、6台の大型車両があります。15〜20号車の名前が付いていますが、15〜18号車が初心者向け、19・20号車が試験用になります。
 私は17号車ばかり乗っていましたが、ここではじめて20号車に乗りました。ちょっとセッティングが乗りにくい・・・

教習項目 教習項目ごとの目標
1.路上運転に当たっての注意と法規走行  所内コースと実際の道路の違いを理解するとともに、交通法規に従い、市街地の走行を体験する。
2.通行区分など  道路および交通の状況に合った通行位置を選び、標識・表示及び信号に従った運転をすることができる。
3.走行ポジションと進路変更  障害物、他の交通の状況等を早期に読み取り、安全な進路、速度が選べる。
4.交差点の通行(直進)
5.交差点の通行(右折)
6.交差点の通行(左折)
 交差点とその付近の交通に対する気配りができ、安全な速度と方法で通行できる。
7.見通しの悪い交差点の通行など  見通しの悪い交差点の危険性を読み取り、安全な速度と方法で通行でき、踏切での一時停止と安全確認などができる。
8.安全な速度と車間距離  走行速度を把握し、適切な車間距離を保持した安全な運転ができる。
9.カーブの安全走行  カーブに応じ、安全な速度と方法で余裕のある運転ができる。
10.カーブの体感走行  カーブ事故につながる危険とその対処の仕方を理解できる。
11.急制動  安定した急制動ができ、速い速度の危険性を理解できる。
12.回避  障害物に対する急な回避の判断ができ、対応を図ることができる。
13.ケース・スタディ
(交差点)
 交差点事故の理解を深め、危険の少ない運転行動を選べる。
14.交通の状況及び道路環境に応じた運転  道路での運転を想定し、道路や交通の状況をすばやく確実に認知し、安全で快適な運転ができる。
15.危険を予測した運転  他の交通との関わりに置ける危険を的確に予測し、危険を回避する運転行動を選べる。
16.高度なバランス走行  道路状況に応じ、安全な速度と方法で余裕のある運転ができる。
17.教習効果の確認
(みきわめ)
 

 こういった内容を第二段階ではチェックされます。
 最後の方で運転が荒れてきたり、ちょっとどうかな?という感じではありましたが、規定時間12時間で終了し、卒業検定に臨むことになりました。

 次は、卒業検定〜免許交付まで、そう、クライマックスです。

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