第7話 四国へ

 四国で「林道祭り」が開催された。

 仕事の都合もあって、車にストマジを積んでいくつもりだったが、出発前夜、電話が入った。
「剣山スーパー林道を走っていきます」
う〜ん、それはおいしい話だなあ・・・
 準備ができていたわけでもないし、天気もよさそうだ。自転車置き場のDRを見れば、チェーンが横方向に5cmほどぶれる。こりゃだめだ。FEは1000km近く走っているのでオイル交換が必要なんだが・・・

 剣山スーパー林道そのものは何度か走っているが、いつもDRである。一度FEで走ってみたいとは思っていた。ガソリンはなんとかなるだろうし、無理しなければオイルも問題ないだろう。
 普段のキャンプ荷物は積載できないので、ライダーズイン奥物部を確保し、軽量にまとめた。林道祭りに行くのにキャンプしないなんて(笑)

 朝3時に起きて名阪を飛ばす。上野あたりで給油と思ったが、早朝で開いていない。そのまま走って高峰PAで休憩の際、タンクの中を覗けば・・・いかん!ほとんどない!!
 下りなのでなるべく惰性で降りて、天理で一般道に出る。が、まだ5時半。スタンドが開いていない・・・

 止まったらそれまで、剣山はあきらめるとして、郡山インター方面へ走る。インター直前で開いていたスタンドに入れば、8.1リッター。あと5kmでガス欠だった。
 再度高速に乗り、ぬふわkm/h近くで突っ走る。泉佐野6時55分に間に合うか?

 泉佐野港には6時半の到着だった。なんとか間に合ってゲートにならべば、後ろに来たのは吉峯氏シェルパと中上氏KLR650。
 すでに到着していた金子・林・村田・藤原・桜田の各氏と合流、りんくうフェリー「つるぎ」に乗り込んだ。

 徳島から山へ分け入る。上勝町の最後のスタンドでガソリンを入れる。オイル警告の点いたCRM用にオイルを買って林道へ。

 さて、出発。出遅れた。ダートまではゆっくり走る。昨年来たときより若干舗装が延びている様だ。
 待望のダートに入った。先行している桜田さんのジェベルGPSを抜き、鰐淵さんの怪鳥DR800Sを抜いて先頭にたつ。

 とにかく思いっきり走りたかったので、できるだけコンパクトに荷物をまとめてきたのだ。アクセルを開ける手に力が入る。
 ここスーパー林道は、普通乗用車でも走れるぐらいの整備されたフラットダートが続く。見通しも良く、時間的に対向車もほとんどいないので思い切って行く。ブレーキをかけても滑らない、路面による振れもないこのバイク、DRだったらあわや、という所でもなんともなく、それもこれまで経験のない速度で走り抜けてしまう。

 国道194号線を越えて、第二区間に入った。
 国道区間をゆっくり走っていたので、ダートに入る頃には後方からバイクが近づいてきた。シェルパだ。
 この手の林道では、吉峯特攻隊長にはまるっきりかなわない。立ち上がり速度に賭けてパワー全開できるライン取りに変更、なんとかファガスの森までは逃げ切った。

 「ファガスの森」は、今日は開いていた・・・
 全員がそろうのを待って、先行した吉峯シェルパを追うか、と思えば、CRMのパンクに気づいた。時間がないので、空気を入れてだましだまし走ることにする。
 空気を入れている間にほとんどが出発、さあて追いかけるか!

アメダスですな。

 なんとなくキャブが息吐きを始めた。高山でなった症状に似ている。
 全開にすればふけ上がるのだが、パーシャル域が全然使えない。この大パワーを全開で使い続ける腕は持ち合わせていない。おとなしく走ることにした。

 後方から、アフリカツインが追いついてきた。微妙な速度で、逃げるか抜かさせるか・・・とりあえず逃げてみるが、なかなかどうして、アフリカツインは結構速い。立ち上がりで突き放したつもりが、すぐに追いついてくる。
 タイヤがグリップを失い始めた。なにぶん舗装道路を走りすぎており、中央部が減った扁平タイヤになっているMT21。ブレーキング時に振られ始めたので、ちょっとツライところ。

 写真を撮っている間に先行していた金子団長シェルパとゴンタ君CRMに追いついた。ここでアフリカツインを先へ行かせよう、と思ったら道をあけてもらったので、仕方なく抜いて逃げることにする。
 なんとか「山の家」までたどりついたので、ここで遅い昼食とする。

 ここから剣山へ登山する予定だった「怪しい軍団」の面々(ワタシと吉峯隊長をのぞく)だが、時間切れで断念。
 うどんやそば、インスタントラーメン(そういうメニューがある)を食べて出発・・・あ、CRMのタイヤが・・・
 もうこれは修理する必要がある。身軽な桜田さんと私は先行して「林道祭り」会場へ急ぐことに。

 剣山スーパー林道を出て、四つ足峠を上る。別府峡温泉の看板が誘うが、まずはなにより林道祭り会場へ行かなければならない。
 近道は林道を走ることなので、西熊別府林道へ入る。

ここからダート。

 西熊別府林道は、ちょっと荒れたダートが続く。ガードレールがない所や、あっても落ちている所・・・標高もどんどん上がってきて、またまたエンジンがむずかり出す。
 無理はしなくてもいいか、と、ゆっくり進むことにする。ひょっとしたら桜田さんが先に着いているかも知れない。

 ダートが終わってもなかなか林道祭り会場が近づいてこない。
 舗装の峠を下っていくと、右手に見覚えのあるハイエースが停まっていた。

 BACKOFF号だ。

 会場へ入り、関東バスツアー組を探すがまだ到着していないようだ。
 岡山の藤重さんの顔が見える。久しぶり〜。

 そうこうするうちに関東勢が到着。
「ごめんね〜、熊さん。ゴンタ君のCRMがパンクしちゃって」
伝達事項は告げた(笑)

 桜田さん、藤原さん、中上さんも到着したので、一旦物部村まで降りることにする。ガソリンを入れなくては。
「ここから下まで30kmありますよ」
なんとな!そんなにあるの?現在114km走行、150弱は剣山のペースを考えるとちょっと危ない距離だ。
「入れてきたばかりだから、あげますよ!」
藤重さんのご好意に甘えることにする。持っていたポリタンクにレイドから2リッターのガソリンをいただき、FEに入れていたら・・・デカビタン高杉氏に写真を撮られてしまった。あ〜、ネタを提供してしまった。。。

 延々と続く細い山道を下って物部村に着く。
 まずは給油、そして目の前のライダーズインへ。チェックインをすませばすでに5時半。

 金子さんが到着するのを待って、再び林道祭り会場へ。さあ、夜宴だ!

 文・写真:河村 格


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