File04 PENTAX Espio928


左:林氏使用の最近のモデル 右:河村使用の初期モデル

 ツーリングの友としてカメラを持つことが多い。
 カメラにもさまざまな物がある。使い捨てカメラ(最近は「使い捨て」じゃないですね)からデジカメ、一眼レフ、大判、ビデオカメラetc数え上げればキリがない。でも一番手軽にかつ上質の写真を撮るためにはコンパクトカメラが最適だ。

 コンパクトカメラの高性能化が進んでいる。APSフィルムによるものが多く出てきたが、まだまだ35mmフィルムの画質、汎用性にはかなわない。
 そんな35mmフィルム使用のコンパクトカメラの中から今回紹介するのは、「怪しい軍団」に3台も存在するAsahiPENTAXのEspio928である。

 Espioシリーズは最大160mmを誇る望遠モデルを筆頭に多くの種類がある。それらの中でもやや特殊な用途になるのがこの928である。
 「928」の名前の由来は、90mm〜28mmのズーム幅を有することにある。コンパクトカメラの9割以上は、38mmが最大画角であるが、この928は28mmの広角レンズを持つ点で他に大きなアドバンテージを持つ。
 たとえば、スナップ写真で望遠が必要になることは限られている。近寄ればいいことだから。が、これ以上距離をとれないというシチュエーションでは広角レンズが必要になることが多いのだ。もちろん、望遠側も90mmを確保しているのだから、不足はない。

 私もこのEspio928を愛用しているが、現実に望遠側で使用することは少ない。セルフタイマーやリモコン(付属です)を使って撮影する距離ではほとんどの場合広角側いっぱいで使っている。つまり、他のカメラでは対応できない距離なのだ。
 重量的にも簡易型の三脚で使える程度である。最近のものと比較すればやや外寸は大きいが、ストラップを右手だけに通す私のスタイルの場合はこれぐらいの大きさがちょうど良いようだ。

 メカニズム面でも、PENTAXの技術がふんだんに盛り込まれている。レンズはsmcコーティングレンズと呼ばれるPENTAX最高グレードのものがおごられている。これは、Espioシリーズでは最上級モデルの160と、この928だけである。
 レンズの秀逸さとともに、PENTAXの美点がシャッタータイムラグの少なさ。一眼レフ並のシャッター反応は、「一瞬を切り取る」という写真の楽しみを広げるものだ。

 最近のモデルは台湾製に切り替わっており、値段もこなれてきているので、入手しておいて損のないモデルだ。

写真・解説 : 河村 格


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