第3話 あらためて怪しい軍団

 関西林道祭りへ行こう。それは97年5月から始まった。
 DRにありったけのキャンプ道具を積んだ。ついでに「ここどこ」関西編と「CCR」関西編へ行くのだ。

 名阪から24号線へ。五条から169号線へ分け入る。さすがにバイクの数は多い。途中でスクーターを抜いた。荷物を積んでいるから「林道祭り」参加者か。
 道を確認していると、先ほどのスクーターが。アドレスV100にforesterステッカーを貼っているから、吉峯さんだ。ルート検討し、アドレスを前に桑追線へ。飛ばしているアドレス、おいおい、ついていけないぞ。

 あっさりとこの林道に「ここどこ」があった。吉峯さんと写真を撮りあい、現れる人たちと話などしてそこから離れる。スクーターの吉峯さんはそのまま葛城山へ。私は川原樋林道を抜けて高野山から葛城へ。

 先に買い出ししておこう、とスーパーマーケットを探す。三重県在住の私にはポピュラーな「オークワ」を見つけたので、そこへ行く。買い物を済ませ、さあ、どう行くか?と言うときに、横で荷物を積んでいた2台のXRバハに声をかけた。
「ここからどう行けばいいですか?」
「そんならいっしょにいきましょう」
彼らの先導で葛城山へ。テントを近くに張り、食事の準備。
 大阪のバハコンビは金子さんと林さん。みんなでいろいろと話しながら盛り上がる。

 翌朝、CCRへ行くため早々に離れる。誰とも連絡先を交わしていなかった。CCRのスタート地点にはKLXが一台。後でわかったことだが、吉峯さんを待っていた永楽さんだった。
 こうしてこの後続く関係の基礎はここから始まったのであった。もちろんその時は誰もそんなことを思っていなかったが。

 そんな出来事から3ヶ月。
 地元鳥羽での盆祭りのあと、夏休み最後の2日間を利用して全国制覇の最終目的地を目指す。そこは剣山。日本最長80kmものダートが待っている。

 午前7時20分の和歌山港発フェリーにぎりぎりで乗り込む。XRバハが2台、黒い箱をくくりつけている。ひょっとして、と思い船内を探してみたが、それらしき人はみあたらなかった。
 小松島上陸直前、出る支度をしていると、
「あー、やっぱりやー!」
と声がする。声の主をみて
「やっぱりそうやん!」
と同じリアクションをとった私。
 やはりあのXRバハは金子さんと林さんだった。林道祭り以来の劇的な再会。もちろん意気投合していっしょに走ることにする。

 剣山への入り口、木頭村でガソリン補給をし、ダートへ突入だ。バハ2台にはさまれる形でDRを走らせる。さすがに道中の通行量は多い。バイクはモンキーからZ750RS(!)にいたるまで、車はジムニーからセダンまで入り乱れている。
 なかにはこの状況の中、相当に飛ばしているバイクもいる。あやうく突っ込まれそうになり肝を冷やす。ファガスの森で小休止。

 ファガスを出発し、しばらくすると前からアドレスV100が走ってきた。あ、吉峯さんだ・・・やっぱり来ていたんだ。遠ざかるアドレスを見送る。
 山の家で小休止、うどんなど食べながら原付林道祭りでの再開を約束。キャンプする彼らと分かれて小松島へ戻った。

 その後原付林道祭りを経て、少しずつ交流を深めていったのであった。

 関西の方から、11/16に「ここどこ」関西編へ行く、という情報が流れてきた。次の週末にするつもりだったが、別に予定があるわけでもないので出かけてみた。
 大阪、東京を越える場所には基本的にバイクで行くことは避けている。それを自分の行動範囲としているような物だ。まあ、四国へはバイク使用が便利なので、大阪を通り抜けることは間々あるが。今回はストマジの出番だ。

 西名阪香芝SAで朝食に豚汁を食べ、大阪を7時前に通り抜ける。これで現地に10時過ぎには着けるだろう。中国道を滝野社ICまで走り、生野方面へ。このルートは道の駅が多い。金子さんあたりなら道の駅にいるかも知れぬ、と注意しながら先を行く。
 峠越えでMAPエリアに入った。道端の広場に車を止め、ストマジを組み立てる。近くの温泉をチェック、まだ営業時間前だ。まずは街の方へ行ってみる。バスセンターで飲み物を入手、地図でルートを確認して林道へ向かう。

 林道加保坂天谷線へのアプローチは九十九折りの急坂で、こんなところは得意なストマジは元気よく昇る。やがて林道の入り口が現れたが、そこには「工事中通行止め」の看板が・・・
 とりあえず入ってみることにする。すぐに道は広場になり、あっけなく「ここどこ」が見つかってしまった・・・

 空の色と木々の色が調和していい感じなので、写真など取りながら誰か来るのを待つ。そこへKLXがやってきた。
「シェルパとバハを見かけませんでした?」
「あ、吉峯さん待ちですか?」
そう、KLXは永楽さんであった。
「道の駅にいましたよ。先に来てしまったけど」
予想通りであった。
 そうするうちに、AX1が来た。あれ、三河の「ここどこ」で会ったぞ?・・・藤原さんであった。それにしても2人が来ない。まさか10時前に帰ったりはしないだろうし、迷っているのだろうか?こんな所で?

 やがて、土煙とともにシェルパがすっ飛んで来た。お〜来た来た、バハも来たぞ。
「温泉入ってました」
フツーは林道走ってからにしない?

 写真などとるウチに、吉峯さんがポツリ。
「なんかとっても怪しい軍団だね」
それいただき!そうして、怪しい軍団のネーミングは決まったのであった。このときのタイトルバックが「林道に怪しい軍団現る」だった。

 文:河村 格 写真:藤原延興、河村 格


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