File03 デジタルメーターを取り付ける(メーターギヤ編)


 先月号で、HUSABERG FE400EにSUZUKIジェベル用のデジタルメーターを取り付けました。
 ところが、メーターギヤの比が異なり、1.4倍あまりの誤差(というには大きすぎますが)が発生してしまいました。ジェベルのメーターには公差補正機能がありますが、それはトリップメーターの距離に補正係数を掛けて表示するものであり、速度表示は変わりません。
 このままではやはりまずいでしょう。車検のある車両でもありますので、正確な距離・速度を刻んでもらわなければなりません。

 方法としては、やはり回転数を合わせてやるのが一番なのですが、メーターケーブル途中に変換器をつけるのも困難ですし、それだけの信頼性の確保できる変換器を作ることが難しいでしょう。
 そうなると、メーターギヤそのものを交換してしまうのが一番確実と言えます。信頼性の高い国産パーツ、しかも同じ車両のものを使用すれば、タイヤサイズが同じならば確実に距離は合う道理です。

 さて、入手したはいいが、そのままとりつくはずなどありません。問題点は、ハブとギヤの長さが大きく異なることです。
 左右フォークの間隔に、DR用メーターギヤとハブをあてはめてみたところ、5mmほど長すぎるために取り付けることができません。ノーマルのメーターギヤはかなりコンパクトなのでアクスルシャフトも段付き加工がされておりそこも干渉します。

DRのメーターギヤの初期寸法図
FEのアクスルシャフトの初期寸法図

 これを使えるようにするには、都合20mmほど寸法を確保する必要があります。そのうち15mmは、シャフトの段付き部を短くすることで可能です。ただし中空シャフトなので、φ21をφ17まで削るのは折損の危険を生じます。難しい形状ではないので、このシャフトは新作することとします。
 重量面からは中空が好ましいですが、今回は中実シャフトとしました。200gぐらい重くなってしまいますが・・・

新作シャフト寸法図

 両方のシャフトを比較するとこれぐらいの違いが出ます。

上が標準、下が新作

 次に、メーターギヤを見てみると、6mmほどカラーがギヤより長いことがわかります。ハブのベアリングは同一面なので、0.5mmほど残せば干渉しません。
 ただし、こうすると動力を取り出すドグが付きません。そこで、ハブの寸法を測ってみたら、M3キャップボルトあたりをねじ込んでドグにしてしまえば行けそうです。で、こういう加工寸法になります。

メーターギヤの加工寸法図
FEのフロントハブの加工寸法図
こんな感じです。


 このように加工すれば、寸法的にはうまくあてはまります。そして、ギヤとハブを合わせてみます。このとき、オイルシールは干渉しますので、はずしてしまいました。当然良いことではありません。常にグリスの管理を必要とします。

組み合わせ状態

 ここで、なぜドグが3カ所なのか?常に力が掛かるのは、回転方向にある2本(図中AとB)であり、回転逃げ側(図中C)は当たってはいません。もちろんブレーキングの際などに当たることはあります。そして逆回転時にはこのドグのみがあたる訳です。
 ・・・単純に一本ピッチが合わなかっただけなんですけど・・・4点というのは合いにくいですね。・・・言い訳言い訳。。。

 ギヤボックスの形状が一部干渉するので、面取り加工を施しました。ただし、現実には失敗だったようです。もう少し加工を少な目にしておけばそこを回り止めに使えたかも知れません。今回はケーブルをタイラップで仮に固定しておきました。

 さて、うまく寸法的には取り付けられました。走ってみて距離を確認します。
 走り出してすぐに速度表示が以前より上がっていることはわかりました。そして、2月号の「林道探索倶楽部」にある、舗装の長距離区間を走ってみました。あのCCRマップは、DR250Rのアナログメーターでの計測です。さらにストリートマジックと4輪車でも確認計測していますので正確なものと考えて良いでしょう。
 果たせるかな、6.9km区間を6.8kmで表示しました。これはもう全く問題のない数値です。誤差はタイヤの違い(使い込んだTW61の80/100と、まだ新しいMT21の90/90)程度と思われます。

文・写真 : 河村 格


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