其の十八 奥山田隧道

 山間部を走っていたら、トンネルがありました。それだけなら当たり前のことですが。



 トンネルの名前は「奥山田隧道」
 「隧道」は常用漢字ではない、ということで最近は「トンネル」と記載されるようになっていることが多く、ここも昭和初期以前と思われる。



 トンネルを越えたら、バックミラーに不自然な道が見えた。
 そしてその奥には・・・



 トンネルがあった。旧道ということになるのだろう。

 ひっそりと木に隠れかけていたが、通れないことはなさそうだ。入り口にはチェーンが張ってあるので、歩いて中に入ってみる。



 ・・・読めない・・・幽谷窃?・・・もう一文字が判別できないが、「おくやまだ」とは読まんなあ。
 なぜこういう額縁なのかはよくわからないけども、旧トンネルは奥山田隧道ではなかったのか。



 外装は煉瓦造りだったが、中は素掘りのままだった。崩れてなくなったわけでもなさそうで、しっかりしているように見える。
 もちろん明かりもなにもないが、まっすぐで長くはないので向こう側が見えるので安心できる。



 出口にたどり着いたが、この先の道がなくなっているように見えた。崖のように急に道がなくなっている。



 脇には捨てられた車がひっくり返っていた。

 ・・・ん?

 目線を廃車の奥へ向けると・・・


 トンネルがあった!

 この道は今通ってきたトンネルから急に左に向きを変え、次のトンネルに向かっていたのだった。
 たしかに現在の道の方向を考えればそれが自然だと言える。



 こちらはコンクリート造りか。抗口から少しの間は煉瓦が巻かれているようだ。



 中へ入ってみたかったが、大量の古タイヤで埋め尽くされたトンネル内に入ることはやめた。
 向こう側の明かりは小さく見えているし、崩れていたりはなさそうだが、歩いて入れる状態ではない。ここから先はその筋の人に任せるとして。



 現在使われている奥山田トンネルの西口側には、新しいトンネルが掘られていた。
 すでに貫通しており、仕上げもされているのでいつでも使える様に見える。東口側からは見えないが山の向こう側に新たな道ができていたのでそこへつながっているのだろう。



 トンネル名は「大杉トンネル」とある。これも奥山田ではないのだな。



 さて、先ほどの旧トンネル、どこへ出ているのだろうか。
 脇の広場の奥を見てみると・・・


 後日、調べたところこれらの旧隧道は「奥山田第三隧道」「奥山田第二隧道」であるらしい。すなわち「奥山田第一隧道」も近くにあるわけで、調査不足であった。

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