つめあと

 冬が近づいていた。

 もうそろそろ冬眠の季節がやってくる。
 その前に走っておこう。そんな休日。



 天気は下り坂。
 ただ大崩れはしない・・・はず。



 だけれども。
 結局こうだ。

 困ったことが一つ。

 持ってきたカッパが普段着用のスリムなものだったこと。
 オフロードブーツを履いたまま着用することが出来ない。
 一応防水性のあるパンツではあるんだが・・・古くなるとちょっとね。

 まあしょうがない。大崩れはしないはずなんだ。



 冬に向かっているはず。
 これはでも桜、だよな。



 峠を越えてみようと思うのだ。
 ループ橋で駆け上がりトンネルで簡単に越えられるのだけども。

 それだけでは味気ないでしょ。



 かつての峠へも上がれる。だから行ってみよう。
 やはり登り切って下っていく感覚が峠だもの。



 ぬぬ、ダメと来たか・・・



 原因は台風12号だった。
 和歌山を中心に大きな被害を出した台風12号。報道されたのは被害の大きい地域。だが、それだけ強い台風だったわけだから他にも影響はあって不思議はない。



 反対側からなら峠まで行けるのでは。
 トンネルを走り抜ける。



 再び旧峠へチャレンジするが。
 またすぐに通行止めに阻まれる。
 記載によると上れる登山道はあるようだが、道路の峠へ行きたかったのであって。



 古い街道で古い町並みを走る。
 新しい街をさけてまた山へ向かう。

 台風の爪痕はやはり半端ではなかった。

 比較的新しい酷道が谷にへばりついていたのだが、ごっそりと落ちていた・・・



 そんなわけでいつもの道の駅は崖崩れの近く。迂回路はここを避けているので人の姿も少ない。
 それでもここで昼食を取っておかないとこの先には何もないのだから。幸い営業していたし、近くのガソリンスタンドも開いていた。



 かつて走った林道へ行こうか。
 いや、それとも温泉へ行こうか。



 登山道の入り口まで来た。車の姿は、ない。
 事前にwebで情報を得ていたので、歩いて行けるはず。

 バイクを置いて歩き始める。
 微妙な天気でなければトレッキングシューズで来たものを。モトクロスブーツでは歩くのに不自由だな。



 地図があった。吊橋までは行けるとwebに出ていた。
 行こうとしてるのはもちろん五色湯跡。江戸時代には湯治場があったそうな。今でも湯が湧くらしい。



 歩き始める。
 林道ゲートがあって、小さな崖崩れがあって。

 もっと早く気がつかなければ・・・



 地図にあった屏風滝ってのはどれなんだろう?

 だいたいから眼下に木々の隙間から見えるだけの滝は道案内にしないだろう。

 そう、道を間違えたのだ。
 往復すること1時間。無駄に時間と体力を使う。



 本来の目的地はここを左の細道だった。
 そりゃ登山道なんだからこういう道で当たり前だろうに。



 ていうか標識もあったじゃないか・・・
 するってーと、五色湯跡まではせいぜい2kmってことだな。



 木橋があったり岩のオーバーハングの下を歩いたり。登山道らしくて良い。



 ああ、おそらくこのあたりが滝だね。



 しかしながら・・・
 急激に荒れてきた登山道。

 岩がゴロゴロ、足場悪し。



 そして。

 たぶん降りることは出来る。
 しかし、モトクロスブーツでは登れない。

 ここで撤退するしかなかった。

 こうした歩きの探訪はバイクにとっては不利になる。
 荷物を残しておくことも難しく、装備も制限される。やはり車で来たときにするしかないか。

 そしてこれも台風の爪痕だったのだろう。
 冬を越えて人の増える頃には多少変わっているだろうか。

 とりあえず、冬前の活動はここまで、ということに。

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