第38回 国道259号線

 三重県の伊勢といえば、江戸の時代から伊勢参りで賑わったもの。
 昔は東海道を歩いて行ったわけですが、近代は自動車が増えました。高速道路が発達する以前は、縦に長い三重県を縦断していくのが大変だと、海路を使ってショートカットしたものです。

 そんなショートカットに使われたのが、伊勢湾フェリー。
 ところが今、その伊勢湾フェリーは廃止されることになっています。もう2ヶ月しかありません。

 そんな伊勢湾フェリーをルートの一部に含む国道があります。国道42号線と259号線です。
 当初は259号線だけでしたが、区分の見直しで42号線が豊橋起点になり、重複区間となったのでした。
 かつて国道259号線だった渥美半島外海のルートは42号線に変更になり、内海を行く県道が国道に昇格して259号線になったものです。

 高速道路が発達してきて伊勢湾フェリーの利用が少なくなってきたことで、このまま廃止となると42号線は分断されます。
 現在の259号線は、トヨタ系企業が多く工場を構える田原地区を通るために産業道路としての役目も担うようになりました。259号線は伊勢湾フェリーがなくなっても影響は少ない。

 しかし。フェリーで渡った鳥羽には。ごくわずかに259号線が残っています。それこそメートル単位ですけど。
 フェリーが健在なうちに、海を渡る国道を走っておきましょうか。
 


 愛知県豊橋市からルートが始まります。



 豊橋は路面電車が走る街です。しばらく併走します。
 路面電車は豊橋鉄道の運行によるもので、地方都市によくあるパターンですね。自動車が主になる愛知県で残っているのは貴重と言えます。



 もぐらパークて・・・



 ほどなく郊外へ出ます。
 右へ曲がれば明海町、トヨタの街です。



 国道23号線はこのあたりまで続いています。陸路で伊勢へ向かうか、海路で向かうか。今だけの選択かも知れません。



 道の駅がありますが、「めっくんハウス」とは。
 看板は植物の芽。産直の店は充実しています。今でこそ工業の街のイメージが強くなりましたが、元来渥美半島は農業が盛ん。



 田原市街を過ぎると、ほらこの通り。



 明海町から緑が浜の工業地帯からの産業道路を合流します。
 それとともに半島中央部を通ってきた国道が海に出ます。



 工業地帯からわずか数キロの海。
 環境に配慮された現代の工場、特に組立工場が主ですから、このあたりの海にも影響は無い模様。



 渥美半島を代表する作物としてあげられるのが、メロンです。

 「渥美メロン」と「伊良湖メロン」の2品種が地産のものとして有名です。



 伊良湖岬へ到着しました。この先で国道42号線と合流します。
 事実上、ここが259号線の終点と言って良いでしょう。



 伊勢湾大橋など、40年近く前から叫ばれているわけですが。
 当時、小学生の感覚からもそれが実現するとは思っていませんでした。今でもまともな計画ではないでしょう。
 瀬戸大橋やしまなみ海道のように島を橋桁にして吊り橋で・・・と考えるのでしょうか。それとも今なら海底トンネルか。

 現時点では高速道路で豊橋から伊勢まで2時間ほど。
 渥美半島に高速道路を通して30分、海底トンネルなら30分でしょうか。鳥羽から伊勢まで30分弱。

 まあ、メリットは無いでしょうな。



 そして伊良湖岬。陸路はここで終了です。
 ここから、伊勢湾フェリーが国道となります。現在は42号線と259号線の重複区間と言うことになります。



 もうすぐフェリーが入港するのですが、なぜかナマコなど採ってる作業のみなさま。
 のどかですな。国道フェリーとは言うものの、宇高航路などと比べれば発着本数も少なく時間に余裕はあります。



 とりあえず昼食にしましょうか。
 フェリーターミナルには食事の出来るところがあります。伊良湖ラーメンと大アサリなどを。



 さて、賭場行きフェリーが入港してきました。
 鳥羽からの車が降りるのを待って乗船です。



 この日は他にバイクが一台。
 フェリーはバイクでの利用価値が高いと思います。やはり航続距離は車より劣りますから。



 フェリーが出港、国道の旅再開です。
 短い距離のフェリーは、こうして甲板で過ごせる晴れた日が最高です。



 伊勢湾口には、いくつもの島があります。そのほとんどが三重県鳥羽市に属します。
 三島由紀夫の「潮騒」の舞台・神島は伊良湖から10分ほどでしょうか。鳥羽まではまだ50分もかかります。

 これらの島々にも道路があり、車があります。

 ただし、それぞれの島にはフェリーは通っていません。島にある車は島の外に出ることは基本的にありません。一番大きな答志島には御覧のような立派な橋があったり、「スカイライン」と称される道もあります。もちろんガソリンはあるんです。漁船があるんですから。そして港との行き来のために、軽トラなどが多く使われています。本土との往来は船オンリー、なので車を運ぶのも漁船などによるわけです。

 こうした島々との交通も、伊勢湾大橋などが出来れば確保できるのかも知れませんが。



 さて、鳥羽港に到着です。海の国道もそろそろ終了。



 下船の順番はバイクが最後。もう急ぐことはありません。



 国道の標識には259号線の表記はありませんでした。
 42号線はここからまだ続きます。



 かつて、フェリーの入り口だった交差点にあった標識には、国道259号線の表示があった・・・と記憶しているような、幻のような・・・

目次

inserted by FC2 system