第三十二回 DR−Z400SM
さて、今まで出そうで出なかった一台。DRZ400です。
今回は林道へ同行したDRZ400SMに乗せていただいたので、ここで軽くインプレなど。
400ccクラスのリアルオフロード車、その一般公道モデルというのは、実は多くありません。近年ではこの1機種のみだったと思います。海外ではそれなりに400ccクラスもあるのですが、免許制度の関係で400ccの需要がある日本のメーカーに少ないのはなぜでしょう?
400ccという比較的大きなエンジンを積む車両は、乾燥重量で130kgを越えるなどいささか大きく重いところがライダーを選ぶ結果になったのかも知れません。
エンジンは水冷DOHCの400cc単気筒で40PSを発揮します。
SV1000系の半分を使った、などと言われており、なめらかかつパワフルな印象です。
排気量が大きい上に競技用ベースの公道仕様車とは違ってパワーだけを求めていないので、回転域を選ばない。優秀なエンジンと言えます。
ただしこの車両は「SM」仕様ですから、ロードタイヤを履いたスーパーモタードです。
小さい前輪と太い後輪の組み合わせで舗装道路に強い仕様となっています。
走ってみると、オフロード車とはかなり特性が異なります。
アテ舵を入れてリーンアウトで寝かしていこうとしても、バイクは曲がっていきません。積極的にハンドルを曲げていかないといけないようです。
それはダートでも同様で、 ロードタイヤでは少々難易度が上がります。
DRZの誕生は、RMXの4ストローク化という意味合いがありましたから、DR250あたりと比べても遙かにレーシーなスタイルとなっています。大柄ではありますが全体的にスリムなので足つき等は悪くない。
ただ、それを達成するためかシートは薄く、長時間の走行には厳しいかも知れません。また、横から見たときのスタイルはそのシートの薄さがネックな感じが・・・前上がり感の強いスタイルには、あまり高い評価を見たことがないのですね・・・
水冷ですからタンクのシュラウドもダミーではない本物です。
顔つきは精悍ですが、ライトは400ccとしては暗いかな。
フロントフェンダーの尖り先は今風ですが、これまた横から見た膨らみ型が車体全体の前上がり感を加速している様で。
排気音は静かですね。
この車両も排ガス規制には適合せずに消えていますが、排気量があるのだからなんとかなったのでは・・・どうせもともと重いのだし。
メーター周りはジェベルと同じ。十分なクオリティでしょう。
その他ハンドル周りの機器はスズキ標準です。
DR250Rなどのシフトレバーはガタが出やすく、レバーがカバーに干渉しやすい。
で、DRZ400はどうかというと、さらにガタが出やすい様な感触です。内側に押す様にシフトすると当たってシフトアップできない症状も。
これもまたスズキ標準・・・と言いましょうか・・・
オフロード系車両が無くなっていく中、数少ない400ccクラスでもあったのですから、無くなってしまったのは残念。
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