冬の旅だから
「今週末、ヒマ?伊豆へ行こうと思うんだけど。」
普段、バイクで出かける時は一人で行動する。バイクで走るのは自分だけ。だからいつも留守番を頼む。
冬になって小さいバイクを車に積んでいく様になっても、やはり一人で行くばかりだったのだけど。
バイクに乗り続ける糧のひとつになっているある雑誌の企画。その地が伊豆にあるという。
伊豆、といえば温泉。
そして目的の林道の入り口に公衆浴場があることが判った。
SUVのリヤシートをたためば積める小さなバイク。普段使いの車に2人乗ることに支障を来さない。だから普通に自動車旅行と同じようにすることが出来る。俺にとってはバイクで走るのが目的だが、その林道は1本。1時間少々で走れるだろうから、温泉で待っていてもらえば良い。
「せっかくだから泊まりで行こう」
泊まりに使うのは、林道に近い松崎地区がよかろうと。
計画したのは水曜日、俺の予定なんてこんなもんだ。
トントン拍子に予定は決まり、1000円で行ける高速道路を東へ向かう。
富士山の姿が美しい由比のさったトンネル出口の瞬間が撮りたい!
α700を委ねる。それならそれで事前に撮り方を教えておく必要があったかな・・・
沼津から伊豆中央道へ。
今回の目的地は南西方面だけど、今日は端から観光オンリーと決めた。
伊豆の取っ掛かりとしては修善寺あたりかな。
ということでやってきた修善寺。
このあたりいつも通過してしまうので始めてゆっくり散策する。
地名は修善寺、寺の名前は修禅寺。
真言宗の祖、弘法大師の開山とされる。
が、ダルマの石像があるのは?
現在は曹洞宗の寺となっているからだ。
そのあたりの経緯は、歴史を紐解くとして。
ともかくも開祖の弘法大師、各地に温泉発見の説多く。
ここ修善寺温泉もそのひとつで、独鈷(杖)を立てた場所に沸いた湯が独鈷の湯であるとしている。
その独鈷の湯も以前は無料の公衆浴場だったが、今では足湯として使われている様だ。今は工事中で近づけなかったが。
洗い水を豆乳にしている修善寺蕎麦の店で。
蕎麦は平凡だったが湯豆腐が美味い。気の利いた箸袋がオツ。
腹も満たされたから次へ行こう。まだまだ伊豆の半ばに入ったところだ。
石川さゆりの「天城越え」にも出てくる浄蓮の滝。
国道沿いのドライブインからかなり歩く。冬だから汗もかかないが夏なら歩かない。バイクでブーツなら、やはり歩かない。
天城峠には立派な国道トンネルがあるが、ここはやはり旧峠を越えるべき。
未舗装のまま残された峠道を行く。オフロードバイクでなくても何の問題もない。
林道からの合流地点にもゲートはなかったが、昔走ったその林道が今通れるかどうかはわからない。
ある時から伊豆の林道はその大半をゲートで封鎖した。レジャーで走る車やバイクが問題になったという。我々オフローダーにとって、林道の宝庫だった伊豆の山々がそれから魅力を失った。
旧天城トンネルは今も通行できる。観光地として通行が増えて傷むから通行禁止、という場所が多くなっている中、貴重なものかも知れない。
現代の車は大きすぎてすれ違いは出来ないからライトを頼りに対向車の来ないことを確認して。
案内板を見れば、天城越えは古代にはもっと別の所にあったようだ。
伊豆の踊子の時代背景は結構最近なのだなと。
峠を下った七滝ループ橋は2段ループ。天城峠からの落差を大きく稼ぐ。
七滝、なのは名勝河津七滝にほど近いから。
「七滝」と書いて「ななだる」と読む。
観光三昧の今日何回目かの寄り道。バイクなら通り過ぎていたか。
伊豆の踊子がここに居た。
岩の上に願い石。うまく載せれば願いが叶うとか。
ものは試しとやってみる。
1個成功!・・・俺は駄目だったけどね・・・
七滝の代表格になる初景滝。読んで字の如く、ここまでで初めて景色になる滝といったところか。
ここまででまだ4つ目。まだ行くか?
歩くのもかったるいし、もう良いか・・・
再び南下する。やがて下田に着いた。
伊豆の最先端。東京からなら鉄道も続いているから比較的近い観光地。
海岸線に出れば、青い空に青い海の遠くに見えるは伊豆大島か。
アロエの花が咲いている。
温かい所に咲くアロエ、伊豆はその数が多い。
もうすぐ日が暮れる。温かいとは言え、もうすぐ冬至という時期だから。
完全に陽が落ちたころにたどりついた雲見温泉が今日の宿。
まずは露天風呂、とひとり赤井浜へ。本来入浴期間では無いのだけど湯は解放されている。星の見える時間だけにダイバーでいっぱいだったけど。
若葉屋は小さい宿で近辺ではリーズナブルな民宿だが、アットホームでしかも料理は抜群。
たくさんの魚介類と今日獲れたばかりの猪鍋なども付いて。たまには贅沢に伊勢エビも追加しよう。
繁華街も無いような温泉地、明日に備えて早く寝ようか。
旅は二日目を迎える