File66 自然の驚異
山を走っていると、鉄道に出くわす事がよくあります。それで今の居場所がわかったりすることも多い。日本は鉄道がかなり張り巡らされているので、そんな機会も多いのです。
三重・奈良界隈でデュアルスポーツなどに参加しているとおなじみのJR名松線・伊勢奥津駅。古の蒸気機関車時代に使われていた給水塔が残る終着駅です。
JR東海の中でも鉄道ファンに人気があり、休日昼間の列車は結構満員になっていることが多い。
そんな伊勢奥津駅。2009年10月に襲った台風18号の被害を受けて、現在も一部区間の不通が続いています。
今はバスが代行で走っています。
何処でも走れる車は何か災害があっても迂回すればよいわけですが、鉄道はそうは行きませんから。
伊勢奥津から区間を追って見ていくことにします。
現在、復旧工事はまだ行われていません。
踏切など、人や車の通るところには全てロープが張られています。
復旧は行われずともこういう所には金をかけている・・・とか。
桜で有名な比津駅、温泉地の伊勢八知駅も不通区間に含まれています。
災害を受けた区間は、伊勢八知から家城の間に集中しています。
主に水流による土砂の流出となっているようです。
現場近くはオフロードバイクでも入ることは困難なほど土砂が堆積しています。
取材時点で1ヶ月以上経っており、地盤は固まっていましたし土砂崩れではなく流れた土砂なので、平常時にこれ以上崩れることはないでしょう。
しかし、流出状態は深刻です。川の増水によるものでしょうか。下から削られたような感じですね。線路自体には特に変形も無かった様に見えますが、完全に宙に浮いてしまっています。
枕木も一部流出。確かに、これでは復旧に時間と費用がかかるでしょう。
JR東海は10月末に、家城以遠の廃止を検討する旨を関係自治体などに提示しました。
曰く、復旧してもまた同程度以上の台風で同様の被害になることが予想されるため・・・だそうです。
もちろん沿線自治体が素直にハイと言うわけはなく、協議は続いていますがどうなることでしょうか。
家城からは運行が再開されています。
ところがこの家城もいろいろあって、ここ数年で2回も夜間の逸走事故を起こしているという曰く付きです。線路が傾斜しており、留め置きすることに少々問題があるのです。そう考えると終着駅としては不向き。
また、名松線で景色が良い区間は、家城から伊勢奥津までの区間と言えます。その区間が無くなると魅力は半減するような。
伊勢奥津駅前の看板には、「乗って残そう名松線」の文字がありますが、乗れない今、残す運動はなかなか困難か。
ともかくも、1日にしてこれだけ大きな被害を与える自然の驚異というものを感じる例のひとつでした。
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