よくよく考えてみれば、2日目の朝を旅先で迎えることは最近でもあった。
でもなぜ旅の気分ではなかったのだろう?
近くの街から再び白浜へ。
温泉の時間を待つ間、千畳敷まで足を伸ばす。
見事な青空。
やはりPLフィルターが欲しかったな。
昨夜のリベンジに崎の湯。
開湯時刻にはすでに多くの人であふれていた。
秘湯がブームになったが、その多くは行きにくい場所。
著名な温泉地にあるここはそんな雰囲気を少しは味わえる場所。
でもまあ、もういいかな。
紀州と言えば梅。道路際に梅干しのオブジェとか。
でも俺は南高梅が苦手なのさ。固い梅でないと。
ミカンの産地でもあるが、バイクにゃあちょっと重すぎるぜ。
昨日とは打って変わった海沿いの快走ルート。
やはり太平洋に面しているからにはこうでないと。
有田から山に分け入ると、なにやら施設が。
ここは廃線になった有田鉄道の金屋口駅。
その駅跡に、公園を整備中だった。
川の堤防にバイクを乗り入れて写真を撮っていた。
休日に仕事の片付けでもしにきたらしき人の姿があった。
「中へ入って撮ってもええよ」
ありがたくご好意に甘える。
レールバスとキハ58が車庫に安置されている。
「もうどれくらいになります?」
「レールバスは平成14年まで動いていて、キハはその3年前まで。これから色塗って整備するところ。レールバスはバッテリー入れたらエンジンかかるやろうけど。」
廃線すぐにではなく、何年もたってからこうして整備の話になるのは興味深い。また会社がそれを保管していたことも。
「みんなどうやって情報仕入れてくるんやろうな」
まったく通りがかっただけだった。ここに鉄道があったことも忘れていたもの・・・
そしてまた山深くへ。
標識の少ない迷路のようなミカン畑を、勘を頼りに上っていく。大型車ではちょっと困難か。小型車では上るのが大変か。
ずいぶん上った。谷底に居たんだから。
その全てがミカン畑。ミカンの栽培は楽じゃない。
そんなミカン畑の上にだ。
住むならココ、と。好評分譲中、と。
ここにミカン畑を持っていてならば、自然環境のよいところだから良いだろうけど、そうでない人には・・・
田舎で暮らす、ってーのは夢のある言葉にも聞こえる。実際に田舎とよばれる所を持ってみると、現実ってものも見えるんだがな。
そして、高原へ。
目の前をススキが埋め尽くす。
秋はもうここまでやってきた。
ついでに、と、今回の旅で唯一の林道へ。
今回の目的地で決まっていたのはここだけ。
近畿自然歩道と混じ合う場所で小休止。
そろそろ旅を終えようか。
いやまて、ここまで来たのだから、彼に会いに行こうか・・・
駅長さん、今日はお休みなのね・・・
和歌山電鉄貴志駅には、猫の駅長が居る。その名も「タマ」
しょうがない。またの機会もあるだろうか。
帰ろうか。
ゆっくりする旅の最後は、高速道路を一気に帰るいつもの旅に。帰ってからゆっくりするために。
俺の目的は達せたのか。確実なことは、また旅に出た、ということだけ。
2009年 秋。旅・ふたたび。
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