第29話 夏の終わりに

 夏の日、近所でコマ図を書いていた。

 しかし。

 これまで通れた林道が通れなくなっている。通り抜けられた林道がゲートで遮断されている。短い時間でのコマ図作成は不発に終わった。近頃はこんな風で「林道探索倶楽部」さえも出来ない現状だ。徐々に走れるエリアが狭まってきていることが感じられてしまう。

 某誌の世界でも同じなのか、以前はほぼ毎月欠かさず掲載されていた関西のデュアルスポーツ、いろいろな人が作っていたものが少なくなりつつある。特にここ2年ほどの作者の減少は激しい。
 そんな中、この晩夏に発売された某誌のデュアルスポーツ関西編は、昨年秋から数えて3作目となるN氏の作品だった。


 日曜日の朝、我が家から見る西の空は、晴れていた。

 峠を越えたあたりは少し時雨れたが、その後また晴れ間が出て、高速で京都へ入るまで天候は問題なし。亀岡で見慣れたウエアとヘルメットの長身のライダーに出会う。あれ?誰だっけ???

 バイクが違ったから一瞬見誤った・・・N氏だった。

 八木町が近づくにつれて、天候が怪しくなってくる。駅に着いた頃にはかなりの雨になっていた。



 夏は終わりに近づいているもののまだ9月も上旬、暑くなることを考えてジャージにウィンドブレーカという軽装だった。合羽はもちろん持っていなかった。雨宿りしながら仲間を待つ。お久しぶりのT氏に会う。なかなか雨は止まない。

 I氏が現れた。農民合羽だ・・・

 しばし時間をつぶしているとほとんど雨は上がった。とりあえずコンビニで600円のビニール合羽を買う。コートタイプではない上着だけのヤツだ。いざというときはこれでも効果はある物なのだ・・・と思う・・・

 なんだかんだ言っても京都なので、帰りの都合も考えて出発することにする。
 どうもメーターの調子が悪い。時々点滅する。電源の接触の問題か。メモリが消えないようなのでアースやバックアップ電源ではなさそうだ。キーと連動する電源ラインが犯人か?停まってメーターバイザーを外しチェックしてみるがわからない。だましながら走るしかないだろう。バイクの電源全体の問題でなければ走ることは出来る。



 雨は心配なくなった。林道はまだ湿っているが、それがほどよいしまり具合に路面を仕上げてくれていた。こういう条件の時のフサベル/ピレリMT21は非常に安定している。安心してアクセル・ブレーキの操作ができる。
 いつものようにパスチェックでだらだらすることなく、さっさと先へ進む。



 晩夏の暑さを思っていたが、この天候のおかげで涼しく走ることが出来た。川沿いを走りながらピクニックの人を眺めてみても、水に入る人は少ない。暑かった夏もそろそろ終わり、秋が来る。走るのには良い季節だ。

 コマ図を追いながら走り続けたが、どうにもメーターの調子は悪化の一方だ。徐々に距離計算が合わなくなってきた。終盤は距離を無視してコマの方向だけを頼りに、2コマほど先を考えながら走ったような物だ。なにせ8kmの距離が2kmしかなかったのだから・・・まあミスコースの危険が少なくなってからの悪化で助かった。ゴールさえしてしまえばメーターはほとんど必要ない。ガソリン満タンなら家まで確実に帰れるのだし、速度は周りの方が速いので滅多なことはない。



 そんなわけで早足に進んだデュアルスポーツも無事ゴール。はがきを出したら今日のもう一つの目的、日本一のラーメンを喰おうではないか。日本一の意味は?「味が」であってくれればありがたいのだけどね・・・

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