File34 電動ロールマップ(前編)

 始めに。

 手軽なコマ図ラリーとして親しまれているツールド福井は、次回で10回を数えます。本来6月2日あるいは10月13日に開催の予定だったのですが、諸般の都合で延期になったのは残念です。
 コマ図を使うラリー形式には、ロール化したコマ図をホルダーに納めて使うのが効率が良いので、そうしたマップホルダーを使用します。

 せっかくですからマップケースは自作してみるのが良いでしょう。
 よく使われるのは、いわゆる弁当箱です。透明な蓋付きでロックできる物が向いています。



 左が第8回ツールド福井で使用した380mlのもの、右が第9回で使用の490mlのものです。
 第8回モデルは、A6サイズのマップでは幅いっぱいになってしまい、かなり窮屈になります。また、ノブが小さいために動作が重く、ラリー終盤で指にマメが出来てしまったのが問題でした。
 前年の失敗を踏まえて新作したのが第9回モデル。これはアルミシャフトや速巻きハンドル、ベルト伝動(要するに輪ゴム・笑)での2軸連動による動作力軽減などを盛り込んだものでしたが、反面動作が軽すぎて走行振動でロールが自然にずれていくという不具合も。

 そして、第10回へ向けての準備が始まりました。
 いつかは電動、ということで、ついに電動ロールマップを製作することになりました。

 

 今回使用するのは、810mlの物です。ついに大きさは第8回モデルの2倍の面積/容量を持つようになりました。
 それは駆動部の容量が多くのスペースを占めてしまうためのものです。



 電動にするためには駆動部品が必要になります。
 今回はこのような組み立てキット(タミヤ製)を使用してみました。モーターもマブチRE260という模型用のもの。
 電源については、当面の使用目的が一日限りのCCRであるので、乾電池を内蔵することにしました。車体からの電源取得は電圧変換などの必要もあるうえに車体側の改造を伴うので今回は見送りです。

 さて、どのような構造で駆動するか。
 ロールマップがA6タテ30枚ともなると、その総延長は4mを超えるので前後のロール軸速度が大きく差が出ます。スタート直後は巻き側の回転数が高く、ゴール直前は従動側の回転数が高い。この差をどう扱うかが電動のカギになります。ロールは一方向だけに巻くわけではなく、逆回転もするので両方の軸を駆動する必要があるのですが、同速度回転ではロールの位置によっては弛んでしまったり、引きちぎってしまうことになるわけですね。

 そこで、今回は2モーター駆動としました。



 構成は、巻き上げ側(通常使用時において)に高速低出力のモーター、元側には低速高出力のモーターを使います。モーターそのままでは回転数が高すぎてトルクも不足なので、減速機を使うことになります。
 理論は、元側軸からの送り出しでロールを制御します。そして、巻き側のロールでテンションを与えます。つまり「巻き上げ側」とは言うものの、自分で積極的に引っ張るのではなく、送られてくるものを巻いていくだけです。

 2軸の速比を、64.8:11.6の5.5倍にしました。もっと大きな差にしようと思いウォームギヤなども考慮したのですが、ウォームの弱点として、2次軸側からの逆転が効かないという特性があるので、万が一の対応を考えて多段スパーギヤのもので構成としました。



 高速・低速の2個のギヤボックスは説明書に従えば簡単に組み上がります。いくつかの組み合わせ方があるのですが、もっともうまく収まる組み立て方を探ります。今回の箱にはこの方向で組み込むのが良いようです。



 取り付けはビスとナットで行います。仮置きしたときに油性マジックなどで穴位置を印しておき、そこへドリルで穴明けします。
 ドリルは充電電池式のものが低速で安全です。高速回転の物ではプラスチックは食い込んでしまいますので気を付ける必要がありますね。



 弁当箱ですから、おかずとご飯の仕切り板があります。これを動力室とマップ室の仕切に利用します。
 さて、これで駆動部はできあがりました。

 次回後編では、ロールを巻く軸と、電装関係を製作します。

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