第十回 クリーンなスクーター

 自動車の世界では古くから排気ガス規制が敷かれ、1976年の「51年度排出ガス規制」ではスポーツモデルのほぼ全滅という事態にまでなったものです。
 その後、各メーカーの努力でクリーン化を達成した自動車は徐々にパワーを回復して今に至っています。

 オートバイの世界でも近年、排気ガス規制によって牙を抜かれつつあります。すでに2ストロークエンジンは滅亡同然になっています。
 出力低下は大きなエンジンを積むことでカバーできるのは確かです。今の技術なら軽量化を進めて拡大の影響を受けないほどになっていますから。
 しかし、排気量で運転資格の変わる原付自転車はそうはいきません。

 ホンダのテレビコマーシャルをご存じでしょうか?
 モーニング娘。が出演しているやつで、「スクーピー」というスクーターがそれです。

 このスクーターは、そういった排出ガス規制に対応するものです。



 小型軽量が必要になる原付バイクは、これまで2ストロークエンジンが主流となっていました。
 しかし構造上、吸気中のガソリンが排気に混じってしまうこと、潤滑を保つのにオイルを吸気に含ませていることなど、排出ガスには不利だったわけです。

 そこはスーパーカブで長年4ストロークを作ってきたホンダのこと。スクーターのエンジンにもクリーンな4ストロークを採用することとなりました。
 以前から4ストロークのスクーターは存在しましたが、さらにクリーン度を高めたのがこれです。



 ひと頃のスクーターはやや攻撃的に過ぎるきらいがありましたが、最近はこういった丸いデザインのものが増えてますね。




 メーターはデジタルです。
 キーをひねると 「ヤッホー」の表示のあと、犬が歩いてオドメータの距離を示します。
 エンジンがかかると、燃料残量の表示になりますが、走り始めると速度を表示します。

 第一種原付バイクは、30km/h制限ですね。そして60km/hで自主規制となります。
 メーターは、60km/hまでしか表示しません。しかし速度はもう少し出るようです。針式と違って、そのあたりの数字はわからないのが残念ですが、4ストロークだけに速度は伸びる方かもしれません。



 盗難防止のために、キーシリンダーにはカバーが付いています。
 付属の専用キーでカバーを開けなければ、ドライバーなどもつっこめなくなっています。

 しかし、この専用キーは破損しそうで怖いですが・・・



 スクーターの定番・シート下の収納エリアも、メインキーで開閉します。結構凝った作りです。
 ターゲットが女性であるようで、大型のヘルメットは入りません。鍔付きのオフロード用、それもXLサイズの帽体では、まったく入ろうともしません。



 ステアリングポストにはフックがあります。
 買い物袋などぶら下げるには最適かと。



 BACKtoOFFroadならでは、ダートももちろん走らせてみます。
 スクーターは低重心なのでダートは結構走れるものです。



 走らせているうちに気づいたこと。
 このバイク、左右のブレーキが連動しています。一種のABSと言えるか。左だけ掛けても右も少し動きます。逆もまた同じ。我々ミッション付きバイクに慣れたものにとってはこのシステムはありがたい。どうしても前輪ブレーキに頼ってしまいますから。

(このスクーターは、トーカイオート(豊田市上郷町)さんにお借りしました。)

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