第19回 国道140号線

 「秩父往還」

 ・・・なにか惹かれる文字が地図にあった。

 春先の仕事は一段落したが、夏へ向けて大きなプロジェクトが挙がる。来週からはまた忙しくなる・・・
 天気予報は、2日とも晴れ。あるいは晴れ時々曇り。予定されていた会議が延期になった土曜日を、休みにすることに決めた。



 国道140号線が雁坂トンネルによって全通したのはここ数年の出来事。
 やや中途半端な位置にあるためになかなか訪れることが出来ないまま。

 今回、その雁坂トンネルを使って国道140号線を全線走行するのが目的だ。

 甲府で国道20号線と別れ、140号線の旅が始まる。



 甲州といえば、ワイン。ワインといえば、葡萄。
 街中から国道の両脇にならぶ葡萄棚がそれを色濃く現す。



 こちらは梨の様だ。ここは山梨県・・・だからですかね。



 雁坂開通以前に埼玉へ抜ける方法があった。それは林道を使うこと。川上牧丘、中津川を使えばそれは可能だった、らしい。
 牧丘近辺には今も多くの林道(ダートの)が残っている。
 道の駅牧丘をベースに林道を走るのも良いだろう。

 今日の目的は林道ではなく、国道。



 行き先看板は、最初から「雁坂トンネル」を表示していた。
 道路の愛称は「雁坂みち」とある。

 以前は書かれることの無かったであろう「秩父 58km」の文字が、
 トンネルによって結ばれたことを示しているかのようだ。



 道はやがて峠道の様相へ。ひとつコーナーを上るたびに雁坂が近づいてくる。
 対向車のナンバーは、埼玉や群馬のものが多い。峠が通じている証拠。



 やがてたどり着いたトンネルの入り口。有料道路のゲート。
 2輪車で560円の通行料金が高いか安いか。観光客である私たちにとってはそれほど高くないと言えるが。



 6km以上に及ぶトンネルをくぐり抜ける。上ったら下るのみ。秩父の谷へ。

 中津川林道へは、ここから分かれていく。



 三峯神社を横目に(って、もっと山奥だが)すぎて、川沿いの道の駅大滝温泉へ。
 道の駅に温泉。ちょっと寄っていくか。

 檜風呂と岩風呂が2階建てになって、いずれも三峯川を望む。まだ先があるので長湯せぬよう、軽く入浴。
 登山に来たスクーターのライダーとしばし談笑。駐車場に停めたF650に戻ると、となりのクラウンのおじさん。聞けば昔はハーレーに乗っていたとか。

 私の乗っているF650は声のかけやすい存在なのかも知れない。昔乗っていて今は降りてしまっているヒトたちの目が集まることが多い。

「これなら構えずに気軽に乗れそうだ」

と思わせるのだろう。我が意を得たり。



 これまで交通量もまばらだった国道が、急に混み始めた。
 周囲は一気に近代的になり、そこは秩父の町。

 秩父といえば33カ所。とりあえず1番だけでも。



 時間が遅く閉まっていたが、もとより集印のつもりはないので軽くお詣り。
 秩父詣りにはこれまで関越道側から秩父往還で来るしかなかったが、こうして今、中央道からアクセス出来るようになった。



 国道140号線をそのまま北上する。時間の都合で皆野からバイパスに乗る。長瀞を通れなかったのは残念。
 バイパスを出れば立派な都市近郊道路になる。関越道をくぐって、片側2車線の快適な道路が続く。



  夕暮れの道を熊谷へたどり着けば、「東京 68km」の看板。ここまでが国道140号線。

 駅南のホテルでは結婚式のタキシードの中にエンデューロジャケットで場違いな客。
 ホテルの窓から見える線路には、秩父鉄道の列車。

 ここは関東の都市圏・・・場違いな旅の客。

 秩父の渋滞でクラッチを酷使した左手が痛い。
 明日は何処へ?

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