File38 尻焼温泉
温泉はゆっくりするところ、という認識があるので、どちらかといえば外湯巡りをする温泉街よりは、露天風呂のあるところがいい。そしてそれは野趣にあふれていればなお良い。
場所は群馬県、国道406号線から少しはずれたところに、尻焼温泉はあります。
お〜、巨大な露天風呂!
・・・そりゃそうでしょう。ここは川そのものなのですから。
川底から泡が立ち上り、めらめらゆらゆらと温水がわき上がってくるのが見えます。尻が焼けるように温水が上がるから尻焼温泉。この川でもこの区間だけが湯のわき上がるところの様です。
その区間をちょうどよい温度と深さになるように、せき止めて湯船風にしてあります。ただし自然の川床そのままですから、決して平坦な湯船ではなく、深みもあります。また川底は苔生しているため滑ります。
この様な温泉ですから、単なる入浴と言うよりは温水浴と言った感じでしょうか。ピクニックの様な感覚で人が集まっています。
そのような環境ですから、水着を着用してもかまいませんし、なくても問題ありません。このあたりは海水浴場などとは違って、風俗上の問題云々も大きな問題にはならないからでしょう。ほとんどのひとは昼間は水着着用、夜間は素で・・・という状況ですね。
川の浴場が一番の売りであるこの温泉ですが、ふつうの湯船もあります。これも露天で無料です。
この温泉、主に川底からわき上がる温水がもとであるだけに、川を流れる水の量がその湯温を決めるわけです。そのため、雪解け水で水量の増える春先には湯温が下がり、入浴には適しなくなってしまいます。そんなときは残念ながらこの湯船で我慢していただくと言うことになります。この湯船へ印湯する湯本は川の脇にあるので水の多い時期でも湯温が下がることはありません。
もちろん混浴、しかも脱衣場もなく、湯船周囲を囲む掘っ立て小屋の壁が脱衣場です。川の湯は水着でOKですが、ここは禁止されています。
赤茶けた河原の石が温泉の流れる川であることを示しているようです。
すでにこのあたりの水温は普通の川なのですが、その成分は温度とともに消えるわけではありませんから。
ここは車やバイクで楽にたどり着けるところであり、そんな環境の中にある自然に最も近い温泉として、これからも荒らさずに利用していきたいものです。
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