最近、バイクより車を多用している。
いや、もともと通勤が車なのだから、使用機会は比べられないのだけど、たまの休日にもバイクに乗ることが減っている。
それは林道へ行く機会が減って舗装道路ばかり走っていることもあるのだが。舗装道路、特に高速道路など多用して長い距離を一気に移動するにいたっては、4輪の方が遙かに便利で向いているものねえ・・・
対してバイクの利点は小回りが利くこと。だから山道・脇道などはバイクの方が圧倒的に便利なのだ。
ゴールデンウィークが2日しかなくなり、遠くへ行くことが出来なくなった。予定していた休日の計画はすべて流れ、雨を避けたら出かけられる日はわずか1日・・・
普段、どこかへ出かけるときのルートに組み込まれるだけの国道が近所にある。今年まだ3回目の始動になるF650を引っぱり出した。車ともう一台のオフロード用バイクは家で留守番だ。
三重県津市から少し離れた河芸町白塚というちょっと変わったところから始まるこの国道。
どうやら行政上は津県庁前から始まっているようで、ここまでは23号線と共用区間の様だ。
国道306号線はこの一枚の看板に収まってしまう。三重県津市から滋賀県彦根市まで、決してメジャーとは言えないルートを走る国道だ。
昔に比べて道筋がちょっと変わっているか・・・と思いながら走っていると、国道23号線バイパスと左右に分ける。
中勢バイパスは津市街をさけるために山側に建設されているバイパスで、伊勢・松阪を避けた南勢バイパス、四日市を避ける北勢バイパスと同様のものだ。南勢バイパスは20年以上前に完成、北勢バイパスはまだわずかしか姿を現していない。
その中勢バイパスと連結しているわけで、この区間の306号線は道が良い。広めの2車線で直線も多い。
途中から多くの看板に目が行った。
「モーターランド」なる施設があるようだ。
これは、我々に直結したことだろうか?
山間でもあり、オフロードコースなのか、という疑念が沸く。
どうやらここがその施設のようだ。
「自動車を使用したスポーツ走行用レクリェーション施設」とある。
入ってみると、金網に囲まれた舗装のコースが現れた。
短い直線と、両端に急なヘアピンカーブ・・・
この日は何かのイベントがあるようだ。昼までの貸し切りということで、フリー走行は午後から、とある。
激しいスキール音とともに、AE86がカウンターで通り過ぎる!
そうか・・・
これは、ドリフトのための施設だ・・・
この特異なレイアウト(おおよそ競技に向いているとは言い難い)はこのためのものなのか。
誰が何のために作ったのかはわからない。その筋の雑誌を見ればわかるだろうか。
不詳私儀、「その手の」車に乗っている。
雪の上とは言えドリフトまがいのことを公道でしたこともある。大きなことは言えない。
ここにこの施設があることで、公道で他車を危険に巻き込むことは少なくなるだろう。しかし、ここに住む人たちにとっては、こうした必然のない、生む物のない施設を受け入れることはない。それは至極当たり前のことだろう。
これが「本来の」モータースポーツ(競技用)施設だったらもう少しは・・・だったのだろうか。
亀山は昔も今も交通の要衝。東海道を交差し、国道1号線を交差する。
鉄道に於いてもJRの関西本線と紀勢本線という2本の幹線、それもJR東海とJR西日本の分かれる地となっている。
高速道路でもそれは同じで、国道から見える亀山料金所は折しも5月5日の渋滞で長蛇の列となっていた。
ここまでの広い道とはうってかわって、鈴鹿から菰野の付近は3桁国道らしき細道に。車で来るとすれ違いにも苦労する。バイクでも相手が少々控えてくれないと危険なことになる。相手がバイクと見ると、車を運転している人の気が大きくなるのかも知れない。
菰野からしばらく477号線と併用区間を過ごしたあと、また単独に・・・と思ったのもつかの間、今度は365号線と併用になる。このあたりは普段使うルートなので自分にとってはおなじみの道。
さて。ここを曲がると、この地域では有数のワインディングロードが現れる。
三重県は早くからこの段差減速舗装が使われている。
カーブの真ん中にペイントで厚めに縞模様を敷いてある。
この減速舗装が有効なのかどうかは微妙なところだ・・・と思う。
今乗っているのはオフロードも少し考慮されたものだから、サスペンションも普通のロードスポーツ車よりはよく動く。だからほとんどこの段差はコーナリングに影響しない。さらにもっと一般的なオフロード車ならば、この程度の段差は無いに等しい。
車にしても同様だ。SUBARU Imprezaなど「その手の」車両は、段差を苦にしない。
しかしながら、これがことファミリーカーなどになると話は別なものになる。
カーブにおいて段差があるということは、縦方向の振動にはとどまらない。横方向の振動に変わっていくので、横剛性の低いシャシーにとっては危険きわまりないものだ。
つまり、本来速度を下げさせたい車両にとっては効果が薄いのに、飛ばす気のない人たちにとっては迷惑千万というちぐはぐな施策が取られているもので、安易な道路行政が浮き彫りにされた黄色い線。
この峠は、京都方面へ出かけるときに車でよく利用する。
こうした道だけに、峠族も多く、週末の夜などは近づかない方がいいかも知れない。休日の日中もバイクが多い。
私はもっぱら日曜の早朝に通ることにしている。遺憾ながら「その手の」車なわけで、一般ファミリーカーは即座に道を譲ってくれる・・・おかげでとても安全に走れる。以前使っていたスポーツワゴンではストレスも危険も感じたことが多かったから・・・あたりは、この峠がどんなところであるのかを物語っているかも知れない。ファミリーカーが急な上り坂と段差舗装に四苦八苦している中、どちらもまったく問題にならない「その手の」車もこの時間帯はさほど飛ばさないとは言いながらも次元の違う速度で駆け抜けていってしまう。
藤原連山は登山が盛んだ。峠の中腹に車を止め、登山道へ向かう人たち。
鞍掛峠の山頂にて三重県と滋賀県、伊勢の国と近江の国を分ける。
滋賀県側の道は近年まで険しいダートが続いていたが、それを拡幅舗装して見違えるように走りやすくなった。しかし険しい山並みが変わるわけではなく、落ちれば即死の崖が続く。ブレーキには少々厳しい下り坂、重量車ではあまり無理をしない方がいい。
F650には向かないかな、という気が少しした。舗装ではEDレーサーよりよっぽど向いているはずだが、終盤にはブレーキの利きが甘くなってくる。車でもオートマチック車は要注意だ。
多賀大社はなぜか七五三の時期に多く来ているような・・・
彦根で国道8号線に接続して306号線は終わる。
いつもなら高速で帰る道のり、今日は渋滞必至なのだから、もう一回峠を越えるかな。
そう、「酷道一直線」が始まる前に通った、あの道で・・・