花過ぎて林道に春来たり
せっかく春が来たというのにこの忙しさは何だ?
気が付けば梅はおろか桜の季節も終わり、職場には新入社員の顔も見える。なにぃ、新人歓迎会だあ?馬鹿言ってんじゃねーよ、花見も出来んかったのにそんなヒマあるかあ!
・・・などと騒いでみたくなる今日この頃。別に宴会が目的ではない。たぶん。
花の季節は終わったが、これから山は走るのに良い季節になる。
いつもの林道へいつもの仲間で出かけよう。
花の時期ならたどり着くことの出来ない山も、桜の終わった今では静かになっているだろう。
花は終わったはずなのに、花に集まる人の群れに阻まれた。
下界はチューリップの季節となっていた。こんなところで栽培の花見てないで山へ行こうぜ、山へ・・・
今年はスキー場の雪の量は比較的豊富だったように記憶しているが、なくなるのも早かった。
林道も雪の消えるのは早かった様で、荒れた感じがしなかった。
しかし、春の林道は冬の間に倒れた木々や雪と一緒に崩れた岩石などが散在することが多い。
とある林道では、倒木を乗り越えてどんどん先を目指してみる。阻まれたら戻らなければならない。超えられたら抜け出せる。
倒れてから日の浅い、やや丈夫な木が道を遮っていた。
ちょっと色気を出した。
・・・乗り越えられるな・・・
アクセルでタイミングを取ったつもりだったが、思うように加重が移動していなかったか。
木の幹にはじかれたバイクは反動で崖の方向に倒れようとする。
・・・このまま倒した方がいいな。足付く場所がないか。ちょっと斜面に飛び降りるか・・・
思ったより足場が無く、柔らかい斜面を滑り落ちた・・・
最悪の場合に倒せる幅は見て走っているので、バイクは道の上にある。滑落したのは自分だけ。まあ、山なら特に珍しくもないこと。乾燥していないこの時期の土壌なら、たいしたこともない。
いつもの林道、ということで勝手知った道。ついついアクセルも開き気味。
春は雪解け水で沢も大きくなる。
バイクで思いっきり突っ込んでもまったく濁らない水は、それだけ流れ続けていると言うこと。
冷たい水の飛沫を上げるのが楽しい季節になってきた。
春・・・というより初夏の陽気か。
林道は、秋がいい。暑くなく寒くなく。自然災害からも復旧していることが多く、走るのにはいい季節。
秋が過ぎて林道から遠ざかる。雪に埋もれて近づけなくなる。
そして、春。
冬の間になまった体を揺すり起こして、また山へ入る。
また走れたことが嬉しい。今年も一年、無事で走れますように、と。
春の空は低い。紫がかった空の色は、それだけでのんびりとした雰囲気を醸し出す。
眠くなってきたなあ・・・春眠暁を覚えず・・・か。
そういうのも春ならでは。
明日からまた忙しくなる。だから今日は・・・
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