第26話 遠井は遠い

 3月第二週・日曜日。
 BO誌が発売されて最初の日曜日は、我々にとってCCRのデフォルト日である。

 準備も着々とすませ、早起きした早朝。「怪しい軍団の連絡帳」での情報を集約すると、参加者が少なそうな雲行き。それでは、と予定を変更して、捜し物の方を先に済ませてしまおうか。
 昨日整備したFE400Eにチェーンロックを掛け、F650を引っ張り出す。車検を済ませて2ヶ月、特に整備の必要もない。

 行き先は、清水町・・・



 和歌山県の山中に位置するこの町は、「怪しい軍団」にとって縁の深い町だ。
 今を去ること4年前、この地にて「原付林道祭り」を開催したこと、その時のCCRを企画したのが岸和田支部長、そして翌年、BO誌のCCRをこの地で企画したのが特効体調・・・もとい特攻隊長。そして今回の案内人が、ワニー氏。

 そんなこんなで清水町の遠井地区を中心にした林道群に、3たび足を運ぶことになった。

 どうしたもんだか、一番使用頻度が高いはずの中部と関西のツーリングマップルを紛失していた。
 サービスエリアで近畿圏の高速道路地図をもらい、当面の目安にする。現地には周辺地図があるのでなんとかなるだろうが、この大きなエリア地図で果たしてそこまでたどりつけるかは微妙なところだ。
 そうは言っても何度も訪れた清水町、記憶だけでもなんとかなるってもの・・・か。

 高速道路をほとんど一気に走りきって、海南東の出口で降りる。
 いつもは吉備まで行ってしまい、R480で清水町へ直接行くルートをとるが、今回は生石高原から入るつもりなので、R424からのアプローチをとる。
 地図にR424が描かれていないのでエリアへの入り方がわからず、別荘地らしき中へ紛れ込んだりとなかなか訳わからずの道案内看板に迷わされたり。

 生石高原への入り口で一台のXRに出会った。
「何か捜し物ですか?」
・・・懐かしい台詞だ。昔はこんな感じで声を掛け合っていたものだ。どうやら、同好の士らしい。

 やっとみつかった林道へ。
 走りやすい林道と践んでいたからこそF650でここまで来たわけだ。もちろんそれなりのオフロードバイクの方が楽しいのは当たり前だが、200kmも高速を走ってくるこの地まで、前回のCCRの時にFEで来て大変だったこともあり、楽をしようということでの選択だ。
 最初の方に入った2本は荒れていたりして多少手強かったものの、特に通行に支障があるほどではなく。

 そりゃーそうだ。ここは、原付林道祭りで使った林道なのだから・・・
 決してオフロードバイクに限ったわけではない原付バイクが、問題なく走れる程度の林道だったのだから。

 静かな原付で走った道も、大型のバイクでは少し恐縮しながら走る。
 近頃の林道は林業用の物ばかりではなく、こうした通信・電気用に立てられる鉄塔のための道であることが多くなっている。林業の衰退を憂うかそれとも舗装される可能性の高い林道であることを嘆くか。

 かつては多くの捜し物系ライダーでにぎわったのが、近年は出会うことが少なくなってきた。自分も人と違った時間の流れになっているのかも知れない。
 天気はまだ晴れているが、夕方から雨になるらしい。XRのライダーとしばし話し込んでいたが、そろそろ帰路についた方が良さそうだ。

 ここは遠井、読んで字のごとく、遠い・・・のだから・・・

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