バイクを長距離用と短距離用、という使い分けをしています。
短距離は「走れる」バイク、長距離は「楽な」バイク、と。
確かにそういった走行性能に適性はあるのですが、それ以上に苦楽の差が距離を決めてしまいます。本当は遠くにいい林道があっても、そこまで走っていく気にならないので走行性能の劣る(適性があわない)バイクで出かけることになっているのです。
走れるバイクに遠くまで乗っていければ、それは楽しめるエリアが広がるということですよね。
エンデューロレーサーがベースのHusaberg、純正のシートはとにかく堅い。徐々に経たってはきたのですが、それでも根本の堅さは変わらない。
そしてこの形状。上の方を細く角を落としてあり、ハードライディングに備えた形となっています。
それはつまり、座る部分の面積が狭い、ということです。堅くて細い、自転車のサドルに座っている様な感じといえばわかるでしょうか?
対照的に、とても楽なシートの代表格であるBMWの場合はこんな形をしています。
幅広で堅さもそれほどではない。しかし腰はしっかりしている。
走行距離が違うのでここまでの性能を要求するわけではありませんが、もう少し楽にならないものか?
そこで、シートの作り替えを依頼しました。
目的は、300kmぐらいの走行に耐えうるもの。
方針を決めます。
快適性を高めながら、ライディングの自由度は落としたくない。また足つきのいい車体ではないので、あまりアンコ盛りや幅広化もさけたい。
そこで、この様な形にすることに。
1.台形になっている上の方の幅を、下の方と同じ幅まで広げる。
2.シートフォームは国産車用のものを使うことで少し柔らかくする。
3.シート表皮は、市販のものを利用する。
この様なコンセプトでの改造を、フサベルの正規ディーラーであるトーカイオートに発注しました。実際の作業は専門の業者によって行われます。また、シート表皮は純正の真っ黒に文字入りではなく、2トーンのものにしました。最近のモデルはアレですが、数年前のバイクは2トーンが流行りでしたからその方が似合うかと思ったわけです。見た目的にも軽快にしたかったので、青/黒の切り返しデザインのものを選択しました。
さて、出来上がってきました。
製作にかかったのは10日ほど、値段はシートカバー購入価格が10700円、張り替え工賃が10000円でした。シートカバーを交換せずにそのまま使うことも可能で、その場合は工賃の1万円で出来上がることになります。
見た目はすっきりした感じの色合いに仕上がりました。「GRIPPERSEATS」という様に、ツヤのある素材ながら滑ることはなさそうです。
わかりにくいんですが、上の方の幅がかなり広くなっています。今までは平面がほとんどなかったのですが、幅いっぱいに平らな面ができているのはわかります。
車体に取り付けてみても、違和感なく収まりました。あまりに違和感なく収まったので、効果が心配ですが・・・
シートフレームそのものは弄っていないのですが、貼り替えたことによって若干形状が丸くなったかも知れません。こういう部分に隙間が出来ています。もっともそんなに目立つものではありませんし、また機能上は全く問題はないのですが。
取り付けての全体はこんな感じに見えます。今まで黒かったシートが青くなったので、軽快な感じには仕上がったと思っています。
さて、肝心の使用感です。
角が角張ったわけですから厳密には足つきが悪くなっているはずなのですが、柔らかくなったことで沈み込みが増えたこともあって足つきの変化は感じませんでした。スタンディングなどでも邪魔に感じることはありません。ステップ上部の幅は変えていないのでそのあたりは大丈夫です。
これまで、尾てい骨周辺が痛くなるのが100km程度、前後にずらして走って臀部が痛くなるのが200kmぐらいでした。新しいシートでは、やはり100kmぐらいで少し尻が痛くなります。
しかし、そこからが違います。しばらく休憩して乗ったときに、全然痛くないのです。つまり、長時間座っていることによる、鬱血などが要因と考えられる痛みは出ますが、それが解消できるものであるということです。300kmも走ると、翌日あたりまで残った痛みも、全く問題有りません。
ただし、柔らかいと言うことは、腰に負担がかかりやすいということでもあるのです。時期的なものもありますが、少し腰に来るような気がします。
一日走ったら、ここに皺が寄ってしまいました。それだけ柔らかくて沈んだということです。この皺は翌日には消えていましたが、経たるのは早いかも知れませんね。