使い方が荒いのか、あるいは高速道路の走りすぎか。
わずか1万キロ未満で、リヤホイールのベアリングが痛んでしまったF650。
そのままでも走れないことはないが、これからまだ何万キロも走らなければ行けない(であろう)バイク、やはり不安要素はつぶしておかなければいけない。
時間もなかったことから、ショップに交換を依頼しました。
交換したのは、後輪のベアリング3個、ダストシール2個。
交換にかかった時間は、3時間あまり。
交換にかかった費用は、14000円ほど。
内訳は、工賃が10000円、部品代が4000円程度です。
工賃の10000円については、文句はありません。自分が仕事で客先に請求するタイムチャージがいくらなのか、を考えた場合、決してこの金額は高くはない。しかも真夏の暑い日のこと、自分で交換する労力を考えれば、妥当なものと考えられるでしょう。
やや不満なのは、部品の値段に関する部分です。
ここではまず、ベアリングを取り上げてみます。
BMWという、外国産のバイクであるから部品も外国産である・・・場合が多いのですが、今回交換されたベアリングは、NTN製でした。NTN東洋ベアリング・・・私の住む桑名の企業です(爆笑)
ドイツ原産、イタリア育ちのF650ですから、当然のようにミリ単位の部品で、その点国産パーツの使える場所が多いのです。「多い」というよりはほとんど国産パーツが使える、というべきでしょうか。またNTN東洋ベアリングはドイツの企業と提携していますから、純正指定なのかも知れません。
ベアリングの箱を見ると、「6203LLU/2AU1」などとあります。
「6203」ということで、20mm直径軸の深溝玉軸受け、「LLU」ということで片シール付きということになりますね。「2AU1」は調べないといけませんが。
このベアリングの市場価格ですが、数百円未満です。業販ならば、200円台で取り引きされているものです。
オイルシールについても、同程度の価格になります。
で、だ。
自分で交換するなら、どうでしょう。
小売りしてくれる仲買業者が結構あるものです。管理マージンの入るメーカー経由よりは安くなる。
真夏などの時期でなければ、自分で交換した方がよかったか、と思いました。
ただ、ベアリングの「打ち込み」についてはあまり肯定しません。
軸受けには内輪回転加重(固定されたベアリングの中でシャフトが回る)、外輪回転加重(固定されたシャフトのまわりを、ベアリング付きの物体が回る)の区別によって、嵌め合いの堅さが違います。バイクのホイールは、軸固定でホイールが回る構造で、外輪回転加重です。しかもタイヤ交換など、軸をベアリングから抜くことが多いので、ややゆるめの軸嵌め合いになり、逆にホイールとベアリングの嵌め合いはかなりきつくなっています。
バイクのホイールハブは、ほとんどアルミ製です。その中へ、食い込む寸法公差(ホイールの穴がマイナス目の寸法でできている。ベアリングは若干マイナス寸法だが、それ以上にマイナス寸法でできていれば、穴とベアリングはしっかりと食いつきます)でできていると、限りなく真っ直ぐに入れても、ホイールのアルミを削りながら(あるいは押しつぶしながら)はまる訳ですね。
で、よく三角を描くようにハンマーで縁をたたいて入れることが多いようですが、それは即ち、穴の内壁を斜めにつぶしながら、角を食い込ませて傷つけながら無理矢理入れていることなのです。
圧入は、必ずプレスを使ってやらなければいけません。1万キロ程度で交換の必要になるベアリング、交換のたびにハブを痛めていくのでは長持ちしないですから。
そうなってくると、ユーザ自身での交換というのはかなり難しい部類であることは解ってきますね。で、高い工賃払って、高い部品を使って修理するわけだ・・・