〜2輪と4輪が交わるとき〜
朝6時半。広島市民球場を見下ろすホテルの一室から仲間に電話をする。そろそろ起きただろうか?
「今廿日市インター前のコンビニで落ち合ったところ」
そうか、キャンプだものな。時間の感覚がホテル泊とはかなり違うわけだ。
出遅れた。急いで準備して車を走らせる。五日市インターから高速に乗り、多少速めのペースで追いかける。相手はオフロードバイク、それほど速度は上げられないだろうから、最終合流地点までには追いつくことができるか。
本来なら、ここにF650で参加しているはずだった。
一昨日転倒してそのまま帰宅、参加できないことを告げたままだった。しかし、昨日車で出直してきたのだ。とりあえず集合地点へ顔を出しに行こう。
前方に2台のバイクを発見。後ろについて走る。
途中サービスエリアで休憩中に、もう一人予定が開いたので追いかけている、というメールが入っている。しばらく待っていると彼も現れた。岡山を朝5時に出て、一気に走り続けてきたという。
集合地点は徳山東のインターチェンジ。ここで九州方面からの参加者と合流する。
もともとはここまでのつもりだった・・・
時間は午前9時、今からどこへ行こうか。
どこへ行くのにも中途半端な時間だ。
こうなったら、バイクの面々に付いて行ってみようか。
今日の予定は山口県内の県道を走ること。交通量の少ない道ならばなんとか付いていけるかもしれない。
私の乗っていった車は、SUBARU IMPREZA WRX STi−version。峠道を走るだけならばバイクにそれほど劣ることはないだろう。コーナリングスピードは4つの車輪が路面に接する車の方が速いと言われている。課題は瞬発力だが・・・
バイク5台の後ろに付く形で走る。
走り慣れた先頭のライダーは心地よいペースで峠道をクリアしていく。
IMPREZAに鞭を入れる。
3速〜4速、4000回転から6000回転をキープ。インタークーラーのウォータースプレー(最近はこんなものも公道を走る市販車に装備されている)をAUTOモードにすると、コーナー2つクリアするたびにスプレーのリレーが作動する音が聞こえる。
フルバンクさせていくバイク。オフロードタイヤのグリップ限界でアウトへはらみがちになるバイクも。
各コーナーのつっこみは軽量なバイクが圧倒的に有利だ。小さいカーブが続く県道の峠、なるべく小さく回って加速を大きくとる作戦に出る。当たり前ながら馬力なら負けない。乗員込みのパワーウエイトレシオも5kg前後というのは、バイクと車の差がないということ。
違うのは、それぞれの特性によるものぐらいだ。軽快なバイクと、豪快な車。
最後尾を走るが故に、前方に注意する重要度は少ない。それだけ走ることに集中できる。
そして、カーナビには確実にルートをトレースしてくれるために、次のカーブの大きさが目で見てわかる。これは大きなアドバンテージで、加速重視の走りを必要とする車がバイクと互するための大きな要因になっている。
青い空と直線道路。こんな絵にはバイクが似合う。
しかしながら。
夏の暑さはかなり厳しく、走り続けることが苦痛になってくる。いかにオープンエアーが売りのバイクとは言え、生ぬるい走行風は快適とは言いにくい。こんなときは車は窓を閉め切ってエアコンを使ってしまう(峠道はパワーを喰われるのと、風が気持ちいいので窓全開で走るのだけど)のは卑怯なぐらいに快適だ。
違う乗り物に見える2輪と4輪。
こうして一緒に走ってみると、「走る喜び」はどちらも変わらないということがわかる。
みなさん暑い中お疲れさまでした。次はいっしょにバイクでね・・・