起こってしまったこと

〜転倒事故とそのときの装備を検証〜

 まずの話、目覚めが悪かった。
 遠足の前日などはなかなか眠れなかったものだ。大人になってからもそれは変わらず、明日早起きをするために早く寝なければならない、というときほど眠れないものだ。
 しかし最近、眠れるようになってきた。疲れているのか。単に歳のせいか・・・

 午後6時半に寝て、目を覚ましたのは午後11時半。
 いやな夢で目が覚めた。川原(知っている川だったりする)のオフロードコース(実在しない・・・はず)で、4WD(知らないヒトだ)が走っているのを見ていた。その車がモーグルでひっくり返った。どうも運転手はけがをしたらしい・・・


 計画より30分ほど遅れていた。
 与作国道(徳島と高知県中村市を結ぶ国道439号線)を今月の酷道一直線用に走行していた。峠を走るペースを少し上げた。少しフロントが流れる感覚がある。後輪は新品だが、前輪はまだ換えていない。
 2台の原付を抜いて、そのままのペースでコーナーをクリヤする・・・

 前方から来たバイクに、一瞬ひるんだ。
 フロントブレーキを、ちょっと強く握り込んでしまったようだ。滑った感じはなかった。いきなり「ガツン」となにかにひっかかった感じで、路面が近づいてきた。
 対抗のバイクがこちらへ向かってくる・・・

 顎をぶつけるショックと、左足をバイクに挟まれた状態で倒れた。対向車はどこだ?後続車が止まる。
 挟まれた左足をバイクから引き抜き、飛び起きる。

 足は?  動く
 手は?  動く

 どこも問題はないようだ。倒れているバイクを起こさなければ。
 対向車の3人が寄ってきて起こしてくれた。

 バイクの損傷は、左前のウインカーが壊れたこと。それと、ギヤが一個転がっている。これは何?
 どうもメーターのギヤのようだ。前輪を見ると、見事にメーターギヤボックスが粉砕していたが、その他に損傷はない。左側にこけたので、右側は対向車と接触したものだと考えられる。もっともそれは帰宅してからの結論付けなのだけど・・・

 けがの方は、左膝を打ったことにより出血していた。ただ滑走していないので、コンクリートで擦ったものではない。Gパンの内側で擦ったものだ。
 手持ちの救急セットからリバガーゼを取り出して消毒を・・・と思ったら、対向車のライダーが救急隊員だったのは偶然で、そのまま押さえて止血すれば問題ない、と、三角巾で処置してくれた。
 三角巾は昔から有効な救急用品と聞いてはいたものの、使い方もわからずもちろん持っていなかった。そればかりか、しばらく使うことのなかったリバガーゼ(消毒液に浸したガーゼのビン入り)は乾いてしまい、固まったガーゼが玉のように丸くなっていた・・・



 顎を打った時に使用していたヘルメットはアライのVX。95年のものだから、もう耐用年数は来ている。
 VXは完全なフルフェイス型で、オフロード向けヘルメットのなかではアゴ部分の安全性がもっとも高いものだ。この当たり方でジェットヘルやMXシリーズなどだったらちょっとやばかったかも知れない。
 愛着のあるヘルメットだが、もう使えないので買い換えが必要だ。だがこの安全性は大きく評価できるものとなったので、このモデルの継承作を入手することになるだろう。



 ジャケットは、転倒することを全然考えていなかった。使用していたのはRSタイチのエアーテックというメッシュジャケットだ。
 メッシュであり、当然擦れには非常に弱い。見事に穴が空いてしまったが、これは実は内側が接地したものだ。中に着用のTシャツも擦れた跡があったが、厚手の綿素材の方が強かったようだ。しかし、重要な箇所にはケブラーが当てられているので、怪我はなかった。
 これが春秋なら丈夫なエンデューロジャケットを使っているから、もっと安全性は高かっただろう。今回はほとんどベタ転けなのでメッシュジャケットでも大丈夫ではあったが、滑走してしまうとダメだろう。
 じゃあ、夏でもエンデューロジャケットを使うか?というと難しいところだ。以前は真夏でもゴアテックス素材なら透湿性があるから、とエンデューロジャケットを使用していたが、結局熱すぎる時間帯は脱いでいたりしたものだ。暑いと集中力も欠ける。どうしたものか?



 履き古したGパンは、出てくる前に一カ所パッチを当てたなど、かなり繊維が弱くなっていたものだ。そのため、表面が擦れた状態ではなく、横方向に裂けてしまっている。これではデニム素材本来の強度は無い。
 もちろんモトパンならほぼ破れる心配はないだろうし、もっとオフを走るつもりならば膝パッドを入れているから、そうすれば一切怪我はしていないことになる。
 普通の観光ツーリングでモトパンも何だが、今後は各社から出ているバイク専用のGパンを検討しなければ・・・



 靴はハイカットモデルだったのが幸いし、足首をあの重いF650に挟まれてもまったくなんともなかった。紐が切れてしまっているからすこし引きずられたのは確かだ。
 これはGTホーキンスのOEMでラフ&ロードが出しているものだが、しっかり作られていて歩きにくく、若干操作性も良くない。ブーツと比較してどうか、という究極の選択の元、街を歩いても大丈夫そうなこれを使用していたもの。ブーツには臑の骨折の危険性が有るのはスキー用などでも言われており、石はねやホイールへの巻き込みを考えなければ靴の方が安全という見方もある。


 自分としてはそれなりに気を配った道具選びだったはず。一般道(林道以外という意味で)の転倒は十数年ぶりで危機感が薄れており、安全性より機能性・快適性により傾いていたことは否定できないが・・・
 結局、慢心と焦り、というところに落ち着いてしまうが、今回は特にそういう原因が強かったのは間違いないと反省しなくては。

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