On the ROAD!

 目覚めは早かった。

 夕べの生ビール2杯が効いて早々に陥落していた。
 朝食を頼んでしまったので、ウダウダと時を過ごす。
 押っ取り刀で出発したのは7時半。



 母成グリーンラインを昇る。
 初めての道じゃあない、十数年前に車で来たことがある。
 思えばあのころは、南には目もくれず北へ北へと心が向かっていた。

 そして今、北へ帰ってきた。

 朝も早いので車も少ない。この界隈にある道路の中でも、もっとも好きなワインディングロードであるグリーンライン。無節操なまでによく寝てくれるF650のおかげで、それほど速くない速度なのにかなり責め立てた気分にさせてくれる。
 後方から来た先代IMPREZAに道を譲る。あの車の速さは身を持って知っている。F650では到底かなう速度でないことを。そして、先代モデルは私の現行型より速いことも・・・

 俺も車でくるべきだったか。
 昔といまの乗り方の違いってやつが見えたかも知れない。

 グリーンラインを出て、国道115号線へ。
 今を去ること7年前の冬。
 スキー一本担いで東北のスキー場を渡り歩いていた。
 7年ぶりとやらの大雪で、高速は通行止め。次の目的地へ向かうために雪の峠越えに挑んだのがこの国道。RV系4WDだった当時、この峠で2台の脱輪車両を引き上げた。
 それから車は何度か乗り換えたが、つねに4WDを選択。同様にそのころよりバイクも何度か乗り換えているが、つねにオフロードバイクを選択している。

 オフロード。
 決して道を外れたつもりはないけれど。

 ここまであがってくるのに、並行して長い林道があることも地図で確認している。
 この先、峠を下るルートでも、平行した旧街道はダートであることも承知している。
 いつもなら迷わずそれらのダートコースを選んでいるだろうに。

 しかし、今回はワインディングロードを走りたくてここに来ている。



 レークラインに入る。
 秋元湖の水辺に降りるダートを発見。降りてみる(結局道を外れているじゃあないか・苦笑)
 湖は雪解け水のため木くずなどが浮いているが、透明度は高い。試しに手を入れてみるが、思いの外生温い。

 白布峠からスカイバレーで米沢へ下る。ここは福島県の管轄道路と違い、「〜ライン」という名前ではない。しかし、観光バスのガイドさんのなかでは、ここを「バレーライン」と呼ぶそうだ。
 雪の深いこの地のこと、特に今年の残雪は多く、道路脇に数メートルもの雪の壁が残っている。



 米沢は上杉家の城下町。
 ちょうど上杉鷹山250年祭(?)とかで、イベント広場と化していた。
 米沢と言えば、牛。

 レストランが開くのを待って、米沢牛のサーロインステーキ(残念ながら一番低グレードなやつ)4000円也!を発注。お飲物は、山形の地○○○(以下自粛)
 ミディアムレアぐらいだろうか?ナイフを入れると柔らかく、肉汁のたっぷり含まれたステーキを口に運ぶ。



 うまい!


 蔵王へついた。
 雪の蔵王は記憶も確かだが、夏場の蔵王は霧の中だったのでその形すら曖昧だ。
 目的は3つ。冬は入れない大露天風呂に入ること、これまで走る機会の無かったエコーライン、そして南東北で唯一走行していない有料道路・蔵王ハイラインを走ること、そして白石うーめん。



 温泉はワイルドだ。橋の上から丸見えだけど。一応撮影禁止です。念のため。
 硫黄の臭いのきつい湯は、脇を流れる小川に流れ込み、ほんのりとあたたかい。湯船が結構高温なので、苦手な人は川で入浴している。それも何だけどな・・・



 温泉街で玉蒟蒻の串を買い、しばらくぶらついたあとは蔵王エコーラインに向かおう。無料化されて久しいが、以前に比べて通行量も増えているのだろうか。時はGW真っ最中、ふだんはペーパードライバーな人々も多いので、機を見て一気に抜き去る。



 今年の冬は何年ぶりかで蔵王スキー場に4mを越える積雪が記録されていたほどで、残雪も多い。上に上がるほどに雪は白く、歩いてみると柔らかい。気温が低く、融けにくいのだろう。
 どうせここまで来たのだから、お釜にも登っておこうとリフトに乗る。とにかく寒い。しまった、グローブ履いて行くんだった・・・



 ふたたびエコーラインの特上のワインディングを堪能する。
 いささか無節操とも言えるほどに良く寝てくれるF650(単にポジションの関係か、あるいは自分がリーンアウトになっているか)のおかげで、それほど速くない速度でも十二分に楽しめる。オフロードとは違ったメリハリのつけかた、スムーズに走ることを心がけながら。



 それまで遅いながら動いていた道路が止まった。
 蔵王ハイラインは、頂上付近の駐車場が満車で通行を規制していた。バイクはすぐに通してもらえたので時間切れ間近の頂上へ。
 昔、ここで「うーめん」なる食べ物を見つけた。バスの時間に余裕がなく、試食することはできなかった。その後も名前は覚えていたが、食べる機会にめぐまれていない。
 しかし今、軽食コーナーのメニューには「うーめん」の文字はなかった。土産物の乾麺があったので、それを購入する。「白石温麺」とある。白石・・・そうか。

 夕方になって気温も下がってきた。そろそろ帰るか・・・そのまえに、白石で温麺だな。

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