第13回 国道301号線



 豊田市である。
 あの大トヨタのお膝元である。トヨタに乗らない私でも、仕事の上では大変お世話になっている、地域の盟主である。

 

 そんな街だから、ごく当たり前にトヨタ車が市の車として使われ、街を走る車もその多くがトヨタ車である。
 こんな街では、他のメーカーの車には乗りにくい。

 車の街があるのに対し、バイクの街もやはりある。
 そのひとつが浜松周辺。国内メーカーのうちkawasakiを除く各社がここから出発している。

 バイクの街へ行きたい。

 豊田市を起点に浜松まで国道301号線が通っている。山を越える国道で途中の都市は新城程度、あとは小さな町をつないでいく。



 ワールドカップサッカーが来年に迫った。
 会場の建設が各地で積極的に行われている。豊田は、どうだったっけ?



 松平という地名に届いた。
 そう、あの江戸幕府に君臨した徳川家の祖、松平氏はここ豊田を拠点とする。
 松平東照宮が建立され、ここに奉られている。




 家康が産湯を使ったという井戸などを見学し、茶屋、その名も「天下茶屋」で蕎麦を食べて昼食とする。オフロードスタイルとあまりにもマッチしないのではあるが・・・



 豊田市街を出ると、いきなり山岳ルートの様相を呈しはじめる。
 小さな峠をいくつも越え、信号などもほとんどなく、気分良く進める。

 こんな道だから、いわゆる走り屋さんが多い。
 その最大のステージが本宮山の峠。急な坂とヘアピンカーブの連続だが、路面状態も良いようでかなりペースは速い。あまりリキ入れすぎて事故らない様に気をつけてほしいもの。事故が多発すると減速舗装などを施されて、一般車にとってとても走りにくいものになるのだから。オフロードバイクにとってはそれほど影響のないことであっても。



 その本宮山の中腹あたりから雁峰林道が始まる。
 今月の林道探索倶楽部で走っていますから、ご興味あるかたはどうぞ。



 新城市街地へ出た。人通りも多くペースが落ちる。
 実質的に豊田〜新城間がこの道の主要区間で、ここから湖西までのルートは通行も減り、同じ国道という感覚も薄れる。



 東名高速をアンダーパスし、最後の峠に向かう。宇利トンネルの渋滞を眺めながら。この峠を越えたら静岡県だ。



 湖が見えた。しかし、ここはまだ浜名湖ではない。
 浜名湖の奥深く、入り江のような部分を「猪鼻湖」という。



 この瀬戸を超えて浜名湖にたどり着く。
 周囲の街(その名も湖西市)には、SUZUKIの看板が乱立する。決してバイクのためではないが、我々にとっては軽自動車よりもバイクのメーカーとしての認識が強い。



 箱根と並ぶ東海道の要衝、新居関は今の国道1号線ではなく301号線沿いにその姿を残す。昔の街道がそのまま今の国道になっているわけではない。
 昔の街道には宿場町があり、その宿場町が栄えるほどに国道はそこを避けざるを得なくなっているようだ。決して車が通ることを考えられていない(あたりまえか)宿場町のメインストリートは今の時代には狭すぎる。
 エコロジーなどと格好を付けてみたところで、公共交通機関もままならない地方都市では、自動車は必須条件に等しい。趣味や道楽ではない、生活の一部として必要なものだ。



 国道一号線に合流して国道301号線は終わる。浜名湖の名勝・弁天島は目の前だ。ここまで来たら名産の鰻でも食べて・・・

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