海沿いを走る

 2月、まだツーリングには寒い。住んでる名古屋近辺を走るだけで嫌になる。林道なんて、よほど覚悟を決めてじゃないと出かけられない。
 所用で鳥羽の実家に帰った。日曜日1日だけで良かったのだが、運良く土〜月の3連休がもらえた。名古屋に比べると日中は暖かい。月曜日、帰るのを少し遅らせて・・・
 車での帰省、かと言って車で走ってちゃ意味がない。でもマシンはちゃんとある。実家には、兄貴のストマジ110が置いてあったのだ。
 行き先などどこでも良かったのだが、とりあえず南島町を目指すことにした。天気がいいから、久々に海沿いの道でも走ろうかと。
 何年も前に一度通ったことのある場所で、ちょっとお気に入りの道がある。湾内の島を二つの橋でつないでぐるっと回れるところ。特にいい道というわけではないが、海を眺めながら原付のペースでのんびり走るにはちょうどいい。そういえば以前来たときも原付だったか。
 海沿いだが、かなりの高さまで細かいワインディングをのぼる。三重県も鳥羽までは伊勢湾だが、ここまで来ると正面は太平洋だ。波で激しく浸食され、島々は高く切り立っている。
 観光案内図には出ているものの、橋側とは逆の入り口には標識など一切無く、少し迷ってしまった。林道を仮舗装したような道が続き、突然小さな港に出ると、そのあとすぐに目指す橋へと差し掛かる。大した距離ではない。
 河川に架かる橋ではなく、海に架かる橋。見下ろすと、外海だけに綺麗なのか底まで透き通って見える。一つ目の橋はかなり高い位置に架けられているようだ。橋の上から湾内を一望することが出来る。
 二つ目の橋は水面が少し近い。それでも波をかぶるような高さではない。一つ目の橋との間の島はとても小さく、ほんの少し走るだけ。
 二つ目の橋を抜ければ、程なく国道260号線に突き当たる。一周しても所要30分程度か。でもなかなか楽しめる。実家から往復120km程度、原付には十分なツーリングスポットだ。
 南島町内には交互一方通行の信号がある。工事中の片側交互通行みたいなもの。わずか200mほどの間だが、民家が密集している中で軽自動車同士でもすれ違い出来ない細い道。
 このR260も、悪名高き「三重県三桁国道」のひとつ。以前、ここを通って潮岬方面に走っていったことがあるが、錦峠で4輪がすれ違い出来ずに止まってしまうので、かなり時間がかかってしまった。
 原子力発電所建設の計画が白紙に戻された今、この道が大幅に姿を変えることなどしばらくはないだろう。なんでもない漁村が続く、ひたすら海沿いを走る道。またいつの日か、南を目指して走りに来よう。
文・写真 / 河村 敬

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