第15話 林道へ行くのだ!

 暑い季節は過ぎ去った。

 水冷のラジエーターを通り抜ける熱風がイヤで、真夏はこのバイクにほとんど乗らなかった。
 朝晩の気温が下がってきて、やっと「林道でも走りに行くか」という気がしてきた。
 そこへ、仲間から林道ツーリングの誘いメールが入った。日程も問題ない。2つ返事で参加決定だ。

 前日の仕事で深夜帰りになったので、集合地点まで行くのはきつい。予定される行き先は、自分の家からの場合別ルートを取った方が数段近い。集合場所を変えてもらい、別行動で向かうことにする。
 なにぶんほとんど乗っていなかったので、各部にサビなどが発生していた。クラッチワイヤーが渋かったので、注油する。あとで問題が出るとも知らずに・・・

 今朝は冷える。通常のジャージの上にもう一枚メッシュジャージを着て、ゴアジャケットを着る。
 時間がいつもより遅いので、国道が混んでいた。挙げ句の果てには位置を勘違いして逆方向に曲がってしまい、集合地点に遅れた。



 すでに他のメンバーは到着していた。T氏、N氏、K氏。今日は自分を含めて4人のようだ。多いときは10人を越えるが、こういう日もある。小回りが利くので探索にはいいだろう。

 昼飯などを調達して山へ向かう。
 途中、トンネルを通過するときに異変に気づいた。ヘッドライトが点いていない・・・
 前回のツーリングは夜の帰宅だったから、ライトは点いていた。これはバルブが切れたかな?とHiビームにしても点かない。メーターの照明は点いているので、通電はしているのだ。昼間のことで問題はないが、あとでチェックしてみよう。

 先頭のT氏が止まった。林道入り口を見つけた様だ。



 案内人のT氏、走れるN氏に先に行ってもらう。私には彼らと同じペースで走るウデはないので、ペースを乱さないように見えなくなってから走り出す。K氏はお気楽スタイルだったのでゆっくり行くようだ。



 先行組が戻ってきた。どうやら行き止まりの様だ。
 ある程度の目鼻は付けてあるものの、この林道がどういう林道かは調べていない。新たなエリアを開拓するのが目的であり、「いつもの」「走り慣れた」林道は今回は考えていない。

 

 秋の色が忍び寄ってくる。
 全体的に黄色っぽくなってきて、黄色いバイクも風景にとけ込む・・・か。



 ちょっとトラブルも。
 そういえば、私のもトラブルを抱えたままだ。ヘッドライトが点かない。この機会に分解してみると、アースのプラグが開いてしまって通電しなくなっていた。今朝ワイヤーに注油した際に、ワイヤーを高く持ち上げたため引っかけたようだ。ドライバーを差し込んで修正を試みるがやはり接触が強く保てない。明るいうちに帰ることにして、そのまま組み直した。



 4差路をどちらに行くか。考えたあげく、直進する。
 このエリア、結構奥が深い様だ。開発急務なところではなさそうだから、急ぐことはない。残りは次回と言うことでもいいだろう。
 車の轍があるが、ここまで走ってきたルートは4輪車にはやや困難なルートだ。恐らくどこかへ通じているに違いない。



 やがてブッシュが深くなる。それでもタイヤの跡がある限り奥へ進めるはず。
 こういう道は好きなのだが、やや重い私のバイクではそれほど無理は利かない。まあ、これだけ人数がいればなんとかなる。見えない足下に気を付けて・・・

 

 山小屋のある広場で道はブッシュに消えた。
 山小屋には人の出入りする気配があった。作業に従事している人がいるようだ。
 ゲートもなければ通行制限の表示もなかったから、とくにとがめられることはないが、走るのは作業の入っていない日曜日にしておきたい。自分たちの首を絞めないためにも。

 

 バイクのそこかしこに絡まったブッシュがルートを物語るね・・・

 
 別のルートを進めば、分岐にゲート。魅力的ではあるが、ゲート破りしなければならないほど林道には餓えていないので、ここで帰ることにしよう。

 まだ素性が知れないルートなので、場所を公開することはない。探すこと、それも林道の楽しみのひとつだから。

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