第14話 お茶会

 直接怪しい軍団とは関係ない。
 とあるメーリングリストで「お茶会」が企画された。
 場所は京都・京北町にあるカモノセキャビン、それほど遠くないので参加することにした。

 もともとONロード車が多いMLなので、F650でのんびり行くつもりだったが、何人かOFF乗りの声が上がったので、急遽FE400Eで行くことに。2ヶ月ぶりだとチェーンもディスクプレートもサビが出ており、整備に手間取ったものだ。
 前日になって、OFFルート予定者の1人が行けなくなり、2人だけとなってしまった。相方は、中山さん。よく知った間柄であるし、京都在住の彼の知るルートを付いて走るのは安心できる。

 一度焼き付かせたエンジンを労って、長時間の高速走行はさけた。集合場所には若干遅れてしまった。折から雨の気配がしはじめている。しまった、カッパを持たなかった・・・



 中山さんのLANZAを追って山へ分け入る。
 2サイクルの排気臭が鼻をつく。

 2サイクルは絶滅の道をたどるのか。すでに新車は販売されていない(125cc以下を除く)
 環境問題。難しい問題であることには違いない。不完全燃焼、というよりは生ガスを排気に流してしまう2サイクルは、排気清浄化が難しい。
 各メーカーは2サイクルの販売を中止した。LANZAもしかり。ヤマハはモトクロッサーにも4サイクルを積極的に導入している。250ccの4サイクル車も登場したほどだ。
 すでに4サイクル主力車種の排気ガス清浄化基準をクリアしたスズキも、RMXをあきらめて400ccの4サイクル車をエンデューロ競技車として投入している。

 LANZAを追う私のFE400Eも4サイクル400cc、2サイクル250ccクラスと同等の運動性をもとめたものだ。それでも2サイクルならではの瞬発力、軽快感は表すことが出来ない。2サイクルの滅亡は至極残念。

 

 林道へ入った。荒れた路面に飛ばされながら、LANZAを追う。
 残念ながら、2人ともどうにも乗れていない。中山さんはリハビリ中、私はバイク壊したりで春からなにほどもダートを走っていない。
 大きなクレバス、深い水たまり、いつもより慎重に走る。何かものたりない・・・

 結局、大見尾根から西谷と走り、予定していた基幹林道はパスして八丁林道で国道へ下りる。



 八丁林道の出口は、今日の本題・お茶会の開かれるカモノセキャビンの駐車場前に出る。
 すでに数台のバイクが止まっていた。知った顔がいなかったのでしばらく駐車場で待つ。

 そこへジェベルが到着。ん?どこかで見たバイク・・・
 なんと、仕事で来られなくなったはずの針口さんだった!仕事を気合いで片づけて駆けつけてきたのだった。
 そのうち大阪からの一団も到着。期せずして大人数に。



 小さなログハウスのカモノセキャビンをほぼ貸し切り状態にしてお茶会・・・
 なんのことはない、カレーが食べたかっただけなんだが。
 岡山からはるばるこんな山奥まで来た赤松さんをはじめとして、みんな「カレーを食べる」ためだけに走ってきた。ばかばかしくもあり、至極当然の目的でもあり。

 「○○を食べるためにそこへ行く」

 こういう行為が好きだ。そういう目的が理解できる人たちがこんなにいるのだ。
 住む街は違っても、乗るバイクのタイプや排気量は違っても、こういう一見ばかばかしい目的に集まることができる、嬉しい仲間たち。
 普段ゴシック体の文字だけでつながっている人たちと、直接顔を合わせている。照れくさくもあり、嬉しくもあり。もちろん後者が大きく。



 バラバラに集まった一団が、こんどはまとまって走り出す。
 バイクの性能や性格も違えば、ライダーの経験や走り方もさまざま。サポートし合い、フォローし合い、それぞれのペースで。



 そういえば、私も中山さんもこのステッカーを貼っていたんだよなあ・・・
 ここにもう一枚、このメーリングリストのステッカーを貼るかな。

 そんな気にさせる、楽しいお茶会だった。

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