先月に引き続きギヤ比の変更です。
ツアラー性の強いBMW F650の場合、(大きな声では言えないが)120km/hぐらいにならないと満足行く回転数にならない。なにぶん3000回転以下はまったく使い物にならないエンジンで、実用域は4500回転以上という代物だ。
ドイツにしてもイタリアにしても、アウトバーンやアウトストラーダという高速道路の事を考えてあるというところか。
そうなると、日本国内で使うには非常に不便になってくる。そこで、回転を高く保つためにギヤ比を低くしたい。
BMWというと、シャフトドライブのイメージが強いが、このF650は一般的なチェーン駆動なので対応可能。また全世界での出荷量最大と言われる車両なので、部品も入手可能だ。
ここではAFAM製のものを手に入れた。標準が15Tなので、14Tを選定。
BMW唯一のチェーン駆動車両であるF650ではありますが、実戦向きなHusabergと違って、整備性はよくない。たとえばカバーひとつ外すにもいろいろなところに干渉したり。
このあたり、国産車は実戦的なものが多い。特にホンダ、スズキの整備性、部品入手性は優れており、このことが世界周遊ライダーに好まれているところだろう。
さあ外そう、と思ったら、なんと巨大なナット締め!
2面幅30のナットでがっちり固定されていた。これはちょっと大変だぞ・・・
まずは手持ちの工具で、と大型モンキーレンチを持ち出してみたものの、奥まったところについているのでもちろん届かない。最低でもめがねレンチが必要なようだ。
仕方がないので、ホームセンターへ走る。30のめがねレンチを探したが、27までしか一般には置いていない様だ。確かに、会社にも27を越えるめがねレンチは持っていなかったはず・・・
そこで、ソケットレンチを購入することに。力を掛ける意味でも有利だし、奥に入ったナットをゆるめるのにも向いている。
30ともなると、差込角12.7mmのものしかないので車載工具にはならないが・・・
とりあえず必要な30のソケットと、ユニバーサルハンドルを購入。それぞれ5000円近くするのだ・・・
ここで問題
スプロケットは、駆動軸についている訳ですよね。
で、駆動軸ってことは、エンジンの回転で廻るわけですよね。
回るわけですよね・・・
そう、ナットを回そうとすると、軸が回ってしまうのです。ギヤをローに入れて、さらにリヤブレーキ踏んづけて回らないようにしても、ナットの締まりが強すぎてゆるまない。しばらくいろいろ格闘するも、あえなく敗退。
仕方ない、こういうときは奥の手。
確か、会社に12.7mmのエアーインパクトレンチがあった。30のソケットはなかったので、ソケットだけ持って休日の会社へ走る。工場のコンプレッサを起動して、エアーインパクトを接続。
ソケットをとりつけて軸にはめる。念のためセンタースタンドをたて(暴走されると困るからね)リヤブレーキをかけてインパクトのトリガーを引く!
ほんの1秒以下でナットははずれていた・・・
15Tと14Tを比べてみる。純正の15Tは騒音防止のためか、ゴムの緩衝材が用いられているが、AFAMのものにはない。別に問題ないのでそのままとりつける。
このバイクの欠点は整備性のように思う。
チェーンをスプロケットから落としていたために、これを再びスプロケットに掛けるにはチェーンカバーとフェンダーをはずさなければならない。チェーン引きも決して便利ではない。
さて、これでギヤ比はいくらか落ちた。実際に走ってみよう。
まず一般道。いくらか走りやすくなった。5速を使える場所が増えた、というところ。そして高速。500回転時の速度が10kmほど低下したが、実用上全く問題ない。
なお、燃費は2kmほど落ちた・・・ようだが、季節的なもの(真夏ですから、春先よりは相当悪くなる)を考慮すればほぼ同等かと思われる。
しかし、F650の場合はこれだけのギヤ比変更ではあまり効果が出ないな・・・