雨の林道

 6月になると、仕事の納期がすべて重なってくる。日曜日すら休める保証はない。そして6月と言えば、梅雨。
 雨の中を走ることは別にいいと思っている。しかし、それを日曜日の日帰りで強行するとき、もし何かトラブルがあったら・・・と考えると躊躇する。やめた方がいいだろう。

 5月末、久しぶりに土曜日の休みが確保できた。しかし、雨。
 雨がすでに降り始めていた。船体がさほど大きくない伊勢湾フェリー、しかも太平洋との湾口をまっすぐにトレースするわけで、かなり揺れる。車は問題ないにして、サイドスタンドの弱いバイクの場合は注意が必要だ。
 1時間の船旅の後、流れの悪い国道を走って浜松から高速に乗る。牧ノ原から狭い国道をたどって家山に着いた。

 とある仲間の集まりで利用したことのある河川敷公園にベースを決める。国道の下がちょうど良い雨よけになって積み卸しに好都合なのだ。
 この天気ではもちろん合羽着用。モトパンとジャージ、ゴム長靴を履いて、下回りは完璧だが手袋はレイングローブを破いてしまったのでゴアテックスインナーだ。また買わなきゃ・・・

 大日中塚林道から入ったが、途中で嵯賀野林道への分岐がわからず、これ、とおもって入ったら道は狭くなり階段に。東海自然歩道に入ってしまった。軽量小型なストマジだからなんとかなるものの、中型車なら困ってしまうところだった。

 

 林道の終点はお寺だ。鐘突堂で雨宿り。ここまでですでにかなり時間がかかっていた。土曜日とはいえあまりのんびりもしていられない。
 見つけた分岐から先は狭くなり、これまた大型車ではこなせなかったかもしれない。県道へ出たところで一休みとする。バス停に共同の新聞受けがある。各自がここまで取りに来るシステムだ。各新聞のサービス競争の激しい都会では考えにくいことだ。

 

 ここでまた進む方向を誤る。全然違う方向へ走ってしまい、大きなタイムロス。方向的に予定を変えて菰張山林道へ。

 この林道には参った。

 赤土混じりの軟質な路面は、その急な傾斜と相まってタイヤのグリップを拒否する。とくにブロックパターンの低くタイヤの太いストリートマジックでは、前輪が抵抗になって後輪が空回りする。メーターは時速10km/h以下なのに、後輪にセンサーをつけたCAT EYEは50km/h以上を表示している。
 なんとか走りきって、春埜山へ。ここは比較的固めで走りやすかったが、すでに時間は5時前。

 さて、林道坂角線をどうしよう?せっかく雨の中来たのだから・・・

 

 なにはともあれ行ってみよう。日没までには走れるだろう。
 林道へはたどり着き、走ることも出来たが、帰りの道が通行止めという。またまた大回りが必要になる。日も沈み、暗くなった山道をヘッドライトを頼りにゆっくり走る。大きな水たまりにはまったり石ころに乗ったりしてしまったが大事には至らず、国道まで戻ったときにはもう7時だった。家に7時頃には帰るつもりだったのに。

 泥だらけになったストマジを、川で洗って車に積む。暗いので意外と手間取った。温泉へ行くつもりだったがその時間もなくなってしまった。

 雨はますます本降り。車だからなんとかなる。さほど危険もなく帰れる。

 あいにく、まともな単車を運べるトランスポータは持ち合わせていない。だからこういう小型車しか運べない。小型車ならではの足つきのよさから安全に走れると言うことはあるので、雨の林道にはかえって向いているのかもしれない。

 雨の林道。

 危険ではある。天気と道路状況、地形的特徴は常に神経を配らなければいけない。
 それでも、やはり刺激的・・・


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