いきなりで何だけれども、大都市のいくつかには均一料金の都市高速道路がある。その多くは都道府県/市町村の管轄にあるものだが、中には日本道路公団の管轄になるものがある。
たとえば名古屋を例に取ってみると、「名古屋高速」は名古屋市の管轄だが「東名阪(環状線均一料金区間)」は日本道路公団の管轄のものだ。
これらの都市高速は大抵が高架道あるいは地下道になるため、その下や上には別途一般道を造ることが多い。高速道路が環状線になっていれば、必然的にそれらの付帯道路も環状になる。
東名阪環状線の建設の過程から先行して道が出来ていったのがその下を走る工事道路で、いつしかそれが国道に昇格していった。
それが国道302号線だ。
国道302号線のルートは、名古屋市港区木場から名古屋の外側いっぱいを環状にたどり、東海市で国道247号線に接続して終了する。その多くは東名阪環状線の下を走り、東海市では伊勢湾岸道(第二東名高速)の下を走る。
・・・ところがこの道、完全にはつながっていないのです。ちょっとたどってみますか。
港区側は伊勢湾岸道の名港西大橋、すなわち第二名神高速の起点にある飛島ICから始まる。
この木場という土地、深夜族には夙に有名である・・・まあ、写真を見ていただければわかるとは思いますが、そんなところです。一時期規制も厳しくなったものの、今は高速道路で如何様にもアプローチできる。このところそういう日のそういう時間帯にそこへ行っていないからわかりませんが、どうしているのでしょう?
ここから時計回りに環状線をたどってみることにします。
基本的には片方向1車線だが、この歩道橋の位置を見てもわかるとおり敷地は十分に確保されている。計画的な道路であり、両脇の居住区域もそれに併せて整理されている。
この区間には高速道路はないが、東名阪と伊勢湾岸道を接続することは十分に考えられ、そのための敷地と言うことだろう。
千音寺で東名阪道と出会う。ここから先は東名阪環状線の下を走っていくことになる。
快適な高速道路(ただし60km制限だが)の下を走る環状線は、多くの主要道路と交差する。名古屋の中心地から放射状に延びる各国道/県道に接続していくため、信号は多くなかなか「走る」状態ではない。
甚目寺で、いきなり国道がとぎれてしまった。
ここは名鉄電車の幹線が走っているため、ここを越えないことにはつながらないのだが、高架を作って良いのか判断に苦しむところではある。それは、名鉄が高架になるかも知れないという点があるからで、一番上に高速が走っている以上意味のない3段高架にすることではなく名鉄の事情を鑑みての道路行政が必要だろう。
国道の途絶えた区間は街中を通って迂回する。
「甚目寺」という地名の通り、ここには「甚目寺」という寺がある。
縁起は、調べていません。
地蔵さんが布団で寝ているのが面白いですね。庭に四国88カ所を再現?しているという欲張りも。
国道に戻ると、再び続く高架下の退屈なルート。岐阜方面への国道22号線、小牧方面への国道41号線を越える。
多治見方面への国道19号線をクロスしたところで、標識の先行きが「・・・・・」に変わった。
ここ、勝川で国道302号線は一旦途絶える。上を走っていた高速が地下/半地下に変わるのはここからで、その影響を受けて道が無くなってしまうのだ。
上社で地上に浮上した高速とともに、再び国道302号線が始まる。
実は大森あたりから道路は続いているのだが、地図に依れば上社からが国道扱いになっているようだ。
ここからは比較的新しい道筋で、住宅街のなかを通る。慢性的に渋滞の起こる区域で、ここを1km走るより10km大回りした方が遙かに速いという洒落にならない区間でもある。
わざわざここを通る必要もないのだが、それでも多くの車がここの区間をただダラダラと進んでいた。工事が行われており、バイクといえどもすり抜けることもかなわない。ひたすら我慢の道のり。
平針街道(県道56号線)でまた国道が終わる。この先は現時点で開削中、近々開通することだろう。
ここからは高速道路もなく、大きく迂回して末端部分へ向かう。
建設中の第二東名の終端・名南ICから忽然と国道302号線が復活する。
第二東名も交通量が少ない(走る価値がないという意見も)が、この国道302号線の交通量も少ない。流動としてはあまり需要の無かった区間でもあり、道が出来たことで車が増えるわけではない。
大府から東海市へ、そして国道247号線・南知多産業道路に接続して国道302号線は終わるのだが、そのまま高架下を進んでみた。
やがて、名港東大橋で道は行き止まりになった。
ここから名港トリトン(東・中央・西大橋)を渡れば、そこは国道起点の港区木場につく。
永久に「環」になることはない環状線なのだ。
この海を渡ることは出来ない。トリトンなみの橋を一般道で造ることは出来ない。
それは、あくまでこの国道302号線が、高速道路の測道であるという性格を如実に表していると言えよう。