第13話 大なり小なり

今日は軽装(?)なもんはま氏

 何げに街を歩いていた。
 不意に携帯が鳴った。
「徳島へ来てるらしいじゃないですか」

 電話の主は藤原さん。中島さんらとライダースイン室戸に泊まっているようだ。
 そう、今年初めての長距離ツーリングとして四国へ来ていた。今年初どころか、このバイクでの初長距離だ。なんたって、家を出た時点での走行距離はわずか169km。それがほぼ9割方高速道路を使って来ているのだから慣らしもなにもあったもんじゃない。
 しかも、「キャンプで」という誘いを受けていたにもかかわらず、そんな気力も体力もないので街のホテル泊まりだ。なんとも軟弱なことで申し訳ないけど、それが今の自分にとって精一杯でもあった。

 昨晩到着したときは結婚式の客でにぎわった(そこへライディングジャケットで入って行ったんだけど)駐車場にもわずかに車が残るのみの早朝、F650を始動する。
 しばらくは国道をおとなしく南下する。途中の峠は凍結のあとと見られる光る路面、緊張してゆっくり走る。阿南で給油して、南阿波サンラインへ入る。ここは昔は有料道路だったのだが、有料時代には走ることが出来なかった。四国では横浪黒潮ライン、龍河洞スカイラインとならんで残念な道の一つ。

南国の光は強烈で・・・

 「サンライン」というぐらいで、太陽の光は強烈だ。久しぶりにワインディングでも楽しめそうなバイクだが、如何せんまだまだ速度感覚に慣れていないのでなかなか思うようには走れない。
 それでも朝も早く車の通行も少なかったので、ストレスのない快適な走りが楽しめたのでこれはこれでよしとしておかなければ。

 JR四国から阿佐東線に代わり、レールバスの走る線路を横目に宍喰にたどり着く。道の駅宍喰に9時、予定通りの到着だ。

こんなに集まったのは久しぶりですね

 スーパーテネレがあったのですぐにわかった。昨晩の夜行フェリーで甲浦に上陸した硯さんだ。一緒の船で来た林さんのKSR2、岡本さんのセローも到着。
 すぐに室戸からの一段も到着した・・・のだが、なんとなんと、みんな原付じゃないの。石濱さんのモンキーバハ、鰐淵さんの逆輸入アドレス、藤原さんのEZ9。どれもこれもクセ有りのまさに怪しい軍団だ。

 道の駅で事故があったりと少し時間が経ってしまったが、午前中に片を付けたかったこともあって出発。林氏KSRを先頭に反時計回りに回る予定だ。

ここはまだ平らで浮き石も少ない

 林道でも軽量車が誰も前へ行こうとしない。上りならいいかな、と硯氏スーパーテネレの後に続く。平らだったし締まった路面なのでTW150系のON向けタイヤでも十分に走れるが、速度が乗りすぎる。アットいう間に60km/h程度まであがってしまうので、ブレーキが大変だ。重いだけにムリは出来ない。
 こまるのが左のブラインドコーナーで、インに寄せすぎるとカウルが視界を妨げるのだ。林道向けのバイクではないので仕方ないが、足そのものはよく動いてくれるのでスタンディングなどの必要もなく楽に走ることは出来る。

峠の切り通しで一休み

 登り切った峠で原付勢を待つ。自分でもストマジなどでこういう林道は走っているので、原付だからといって驚くことはもちろんないのだが、ことそれがあの3台となると・・・

 モンキーバハの馬力では上りはきつい。逆に下りはめったなことがないので、原付勢を先行させる。
 峠から西側は、路面に石が増えてくる。荒れた石ならそんなに問題ないのだが、小さな石は滑る原因。ブロックの低いロード向けタイヤではほとんど前輪は路面を噛むことがなく、ずるずると前車から遅れ始めた。
 タイヤだけなんとかすれば行けるな、というのが正直なところで、決して林道を走れないバイクではないようだ。もちろん、積極的に走るものでもないのも正解。

 帰りの時間が気になったので、休憩に止まったポイントで皆と別れる。
 分岐を直進するとダートになるのだが、最初は平らだと思っていた。

 どちらかと言えば下のトルクが厚い方ではないので、スピードが思ったより出てしまっていることが多い。カウルによって路面が見えにくいこともあって気をつけなければいけないのだけど、その楽さに座ったまま走ってしまうので、突然現れた大きめの石に焦ったりすることがあった。
 F21インチのバイクなら、ひょっとしたらそのまままっすぐつっこんだ方が良かったかも知れない。でもこのバイクは19インチタイヤ、その重さも手伝って、まさかフロント飛ばすわけにもいかない。一か八かで左方向に少しラインをはずす・・・轍からはずれる瞬間に若干振られたが、なんとか収まってくれた。以外と走れるバイクかも知れない。

 この道は行き止まりなので、あまり奥へ行きすぎないように途中で引き返すようにした。足つきは良いので、傾斜したところでもUターンは楽にできる。重さはあまり関係ないもので、足のつかないフサベルだと極力アクセルターン(といっても30度ぐらいずつしか回せないんだけど・・・)で回して、壁へつっこんだ反動でバックする、なんてことをやっていたのだが、そんなことは必要ないようで(できないけど)かなりいけるということがわかった。

 いままでは、小さいバイクを好んできた。
 今日集まった連中もそういう仲間だ。そしてまた、彼らも、大きいバイクをも持っているのだ。

 大なり小なり、走り方はいろいろ。

 さて、時間も無くなってきた。帰りは高速道路を一気に帰ることにしよう。走行距離600kmほど、許容回転数は5000回転というところか。さてさて、帰りつくのは何時だ???


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