File12 ラジエーターキャップ

 水冷式のエンジンに欠かせない物、それはラジエーターなどの冷却機構です。水冷機構があるおかげで大出力を発揮させることも可能である反面、ある一定の発熱量を超えると冷却水が沸騰し、エンジンを冷やせなくなるという欠点も抱えています。その水分の沸騰温度を制御しているのがこれ、ラジエーターキャップなんです。

 四輪でスポーツ走行を楽しむ人間の多くは四輪が二輪と違い、冷却のほとんどを水冷機構に頼っているため、水回りにも相当気を使っています。それが証拠に量販用品店に出かけても、四輪の店にはちゃんとラジエーターキャップが並んでいるのに対し、二輪の店では大手の店でも今だかつて、見たことがありません。ラジエーターキャップは圧力弁になっていて、ある一定以上の圧力を内側から受けると弁が開き、水蒸気を水路内部から逃がす構造になっています。
通常は1の内フタは2のばねの力でキャップの口の内側の段に押しつけられています。これによって水路全体にふたをし、一定までの圧力をかけるようにしています。

しかし2のばねには決まった限界があり、それが作動弁圧といいます。この弁圧は長年使用しているうちにばねが劣化し、少しずつ弱くなってきます。これを交換することでまた適正な数値に戻し、冷却系が正しく作動するようにします。

ラジエーターは外気と水温の差が大きいほど、その威力を発揮します。沸騰温度はかかっている圧力によって変化します。
2.0kg/cm^2 122.6度
1.9kg/cm^2 120.3度
1.7kg/cm^2 115.8度
1.5kg/cm^2 111.6度
1.3kg/cm^2 107.3度
1.0kg/cm^2 100.0度
左の表は圧力と沸騰温度の関係です。冷却効率を上げるには水温を高くすればいいのですが、普通水は100度で沸騰します。添加物による沸点上昇を考えても103度ほで1気圧下では沸騰します。水温をより高く上げるには、水路内部の圧力を高くすればいいわけです。そこでスポーツラジエーターキャップの登場となるわけですが、あまりやりすぎると今度はエンジン本体を痛める結果となるので、みなさんほどほどにしましょう。なお純正の場合、大抵0.9kgか1.1kgの物が使われています。
なおこちらは筆者所有のDT200WRに取りつけた例です。ヤマハ純正のものを取り寄せると2000円ほどかかるのですが、写真のPIAA製のリプレイス品だと、量販店で1000円前後で販売されています。他のメーカーのものでも大体同じような値段らしいです。ほかにキャップの真中にボタンがついていて減圧できるものもありますが、そちらは300円ほど値段が上がります。でもそれが一体どういう利点があるのかは筆者も知りません。

あとこれらのリプレイス品ですが、適合表の範囲外の使用をしています。現物あわせで取りつけ可能なものを探すしかないのですが、くれぐれもこう言うメーカー指定範囲外の部品使用は、事故責任の基に於いて行ってください。私のDTの場合、当初取りつけ不良からクーラント漏れを起こしました。
文責:硯  崇

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